楽天証券を利用している中で、ポイント還元率の低下やサービス内容の変更、いわゆる「改悪」という言葉を耳にして不安を感じている方も多いのではないでしょうか。かつては業界最強とも言われたポイント還元も、度重なるルール変更によってメリットが薄れたと感じる場面が増えています。
資産運用は長期にわたる取り組みだからこそ、少しでも有利な環境を整えたいと考えるのは当然のことです。特に最近ではSBI証券などの競合他社が手数料無料化やポイント還元の強化を打ち出しており、楽天証券からの乗り換えを検討する人が急増しています。
この記事では、楽天証券で起きた具体的な変更点や、乗り換え先として人気の高い証券会社との比較、そして実際に口座を移す際の手順を初心者の方にもわかりやすく解説します。現状を正しく把握し、あなたにとって最適な運用環境を見つけるための参考にしてください。
楽天証券の改悪ポイントと乗り換えを検討すべき理由

多くの投資家が楽天証券からの乗り換えを考え始めた背景には、複数のサービス変更が重なったことがあります。これらは利便性やお得度に直結する部分であるため、しっかりと中身を理解しておく必要があります。
クレジットカード決済によるポイント還元率の変動
楽天証券の最大の魅力の一つだった「楽天カードでの投資信託積み立て」におけるポイント還元に大きな変更がありました。以前は一律で1.0%の還元が受けられましたが、現在は購入する銘柄の信託報酬(管理費用)によって還元率が細かく分かれています。
特に多くの人が積み立てている「低コストのインデックスファンド」の場合、還元率が0.5%に引き下げられた時期があり、これが「改悪」と強く印象付けられる要因となりました。現在は楽天キャッシュを併用することで最大1.0%に近い還元を維持する仕組みもありますが、以前よりもルールが複雑化しています。
投資家としては、シンプルな仕組みで高い還元を受けられる環境を好むため、設定の手間が増えたことや実質的な還元率の低下を嫌気して、他社への移行を検討するきっかけとなっています。毎月の積み立て額が大きいほど、この数パーセントの差が将来的な資産額に影響を与えるからです。
楽天ポイントアッププログラム(SPU)の条件変更
楽天証券を利用することで、楽天市場での買い物がポイントアップするSPU(スーパーポイントアッププログラム)の条件も厳しくなりました。以前は「500円分以上のポイント投資」という比較的低いハードルで+1倍の特典が得られていました。
しかし、現在の条件は「月合計30,000円以上のポイント投資(米国株式)」や「月合計30,000円以上のポイント投資(投資信託)」など、金額設定が高くなっています。楽天市場を頻繁に利用するユーザーにとっては、この条件達成の難易度が上がったことは大きな痛手です。
証券会社単体のサービスだけでなく、楽天経済圏全体でのメリットが薄れてしまったことが、ユーザーの離脱を加速させる一因となりました。経済圏の恩恵を最大化するために楽天証券を使っていた人ほど、他社への乗り換えを真剣に考えるようになっています。
マネーブリッジの金利適用ルールの修正
楽天銀行と楽天証券を連携させる「マネーブリッジ」の優遇金利についても、一部ルールの修正が行われました。以前は預金残高に関わらず一律で年0.10%(税引前)の金利が適用されていましたが、現在は残高が300万円を超える部分については金利が半分になる制限が設けられています。
300万円までは引き続き高金利を享受できるものの、まとまった資金を置いておきたい層にとっては、資金の置き場としての魅力が低下しました。他社では特定の条件を満たすことで、上限なしに高い金利を適用するサービスも登場しています。
このように、ポイント還元、経済圏の特典、銀行連携のすべてにおいて少しずつ制限が加えられたことが、利用者に「使いにくくなった」という印象を与えています。これが、楽天証券を使い続けるか、他社へ乗り換えるかの判断基準となっています。
乗り換え先として有力なSBI証券のメリットと注意点

楽天証券の乗り換え先として、最も多くの人に選ばれているのがSBI証券です。ネット証券最大手の規模を誇り、手数料やポイントサービスの面で非常に強力なライバルとなっています。
売買手数料の完全無料化「ゼロ革命」の衝撃
SBI証券が注目を集めた最大の理由は、日本株の売買手数料を完全無料化した「ゼロ革命」です。以前は一定の約定代金までが無料という枠組みでしたが、現在は条件を満たせば金額に関わらず売買手数料が無料となります。
特に新NISA(少額投資非課税制度)では、売買手数料の有無が長期的なコストに直結します。SBI証券は米国株の売買手数料も一部無料化しており、低コストで運用を続けたい投資家にとって、これ以上の環境はないと言えるほど充実しています。
楽天証券もこれに対抗して手数料無料化を実施していますが、SBI証券の方が先に打ち出したインパクトが大きく、コスト意識の高い投資家が次々と口座を開設しました。短期的なトレードだけでなく、配当金狙いの長期投資においても手数料無料のメリットは絶大です。
多様なポイントから選べる「メインポイント設定」
SBI証券の大きな特徴は、貯まるポイントを自分で選べる点です。楽天証券では楽天ポイント一択ですが、SBI証券ではVポイント、Pontaポイント、dポイント、JALマイルなど、自分の生活圏に合わせて選択できます。
特に三井住友カードを利用したクレカ積立では、Vポイントが高還元で貯まる仕組みが整っており、日常的にコンビニや飲食店を利用する人にとって非常に使い勝手が良いのが魅力です。特定の経済圏に縛られすぎたくない人にとっても、この柔軟性は高く評価されています。
また、保有している投資信託の残高に応じてポイントが付与される「投信マイレージ」というサービスもあり、長期保有するだけで着実にポイントが積み重なっていきます。ポイント還元を重視する層にとって、SBI証券は非常に有力な選択肢となっています。
IPO(新規公開株)の取り扱い実績が豊富
投資家の間で根強い人気を誇るIPO(新規公開株)の取り扱いにおいて、SBI証券は業界トップクラスの実績を誇ります。主幹事を務めることも多く、当選確率を上げるための「IPOチャレンジポイント」という独自の仕組みも存在します。
楽天証券もIPOの取り扱いはありますが、SBI証券と比べると件数は少なめです。将来的に大きな利益を狙えるIPOに積極的に参加したいと考えているなら、SBI証券にメイン口座を移す価値は十分にあります。
ただし、SBI証券はアプリのUI(操作画面)が少し複雑だという声もあります。楽天証券のシンプルで使いやすい画面に慣れている人にとっては、最初は操作に戸惑う可能性があるため、その点は注意が必要です。
SBI証券への乗り換えメリットまとめ
・日本株の売買手数料が完全無料(ゼロ革命)
・VポイントやPontaなど、貯まるポイントを選べる
・クレカ積立の還元率がカードランクに応じて高い
・IPOの取り扱い件数が圧倒的に多い
NISA口座を楽天証券から他社へ乗り換える際の手順

現在、楽天証券でNISA口座を開設している場合、他社へ乗り換えるには特定の手続きが必要です。NISAは一人一口座しか持てないため、銀行のように並行して複数の口座で運用することはできません。
乗り換えのタイミングと受付期間を確認する
NISA口座の変更は、1年単位で行われます。例えば、2024年分の非課税枠をすでに楽天証券で使用(買い付け)してしまった場合、その年のうちに他社へ乗り換えて新しい枠を使うことはできません。その場合は、翌年の1月分からの変更となります。
翌年分から変更したい場合は、原則として前年の10月から12月頃までに手続きを済ませる必要があります。逆に、その年に一度もNISA枠を使っていないのであれば、年内であっても9月末頃までの申請で他社へ切り替えることが可能です。
タイミングを逃すと、また一年間楽天証券で運用を続けることになってしまいます。「思い立ったが吉日」ですが、現在の買い付け状況を必ずマイページで確認してから動くようにしましょう。
楽天証券から「勘定廃止通知書」を取り寄せる
具体的な手続きの第一歩は、楽天証券に対して「金融機関変更」の届け出を行うことです。Web上のカスタマーサポートや専用フォームから、NISA口座の変更手続きに必要な書類を請求します。
数日後に楽天証券から「金融機関変更確認証」または「非課税口座廃止通知書」という書類が郵送されてきます。これが他社でNISA口座を作るための「許可証」のような役割を果たします。この書類をなくさないように保管してください。
書類を取り寄せる際、現在のNISA口座を完全に「廃止」するのか、それとも「他社へ変更」するだけなのかを選ぶ項目がありますが、基本的には「変更」を選びます。廃止してしまうと、これまでの非課税枠の扱いが複雑になる可能性があるからです。
変更先の証券会社で口座開設とNISA申請を行う
次に、新しく利用したい証券会社(SBI証券など)の公式サイトから、口座開設の申し込みを行います。その際、「他社からの乗り換え」を選択する項目があるため、チェックを入れて進みます。
申し込み後に郵送されてくる書類、あるいはアップロード画面にて、先ほど楽天証券から取り寄せた「通知書」を提出します。これに加えてマイナンバーカードなどの本人確認書類を提出すれば、新証券会社側での審査が始まります。
審査には通常2〜3週間ほどかかります。税務署の確認を経て、無事に開設が完了するとメール等で通知が届きます。これで、新しい証券会社でのNISA運用の準備が整いました。あとは、積立設定を忘れずに行うだけです。
注意:旧NISA口座の資産は移動できない
楽天証券のNISA口座で既に持っている商品は、他社のNISA口座へ移すことはできません。そのまま楽天証券で非課税期間が終わるまで持ち続けるか、売却して現金化し、新しい口座で買い直すかのどちらかになります。
特定口座の保有資産を移管する方法とコスト

NISAではなく、税金がかかる「特定口座」で持っている株や投資信託を移したい場合、それらを売却せずにそのまま他社へ移動させる「移管(いかん)」という手続きがあります。
「株式移管入庫」を利用して銘柄をそのまま移す
保有している株式をそのまま移すには、移管元の楽天証券で「口座振替依頼書」を作成します。これを提出することで、証券保管振替機構(ほふり)を通じて、新しい証券会社へ株が移動します。
この方法の最大のメリットは、現在の取得価格や保有期間を引き継げることです。一度売却して買い直す場合、株価の変動リスクがあったり、利益が出ている場合には課税されたりしますが、移管であればそれらを回避できます。
投資信託についても同様に移管が可能ですが、移管先の証券会社が同じ銘柄を取り扱っている必要があります。ネット証券同士であれば大抵の銘柄は共通していますが、念のため事前に確認しておくのが無難です。
移管手数料の発生と「手数料キャッシュバック」
楽天証券から株式を他社へ移管する場合、出庫手数料がかかることがあります。かつては無料でしたが、現在は1銘柄あたり数千円の手数料を設定している場合が多いため、多くの銘柄を持っている人はコストが重くのしかかります。
ここで注目したいのが、移管先の証券会社が実施している「移管手数料キャッシュバックキャンペーン」です。SBI証券などでは、他社から移管してくる際にかかった手数料を全額または一部負担してくれる仕組みがあります。
これを利用すれば、実質的なコスト負担なしに資産をまとめられる可能性があります。キャンペーンの適用には条件(一定金額以上の移管など)があることが多いため、申し込み前に各社のキャンペーンページを必ずチェックしましょう。
移管完了までにかかる日数と注意点
手続きを開始してから実際に新しい口座に反映されるまでには、通常1〜2週間程度の時間がかかります。この期間中、移管手続きに入った銘柄は売却することができなくなります。
相場が急変した際に「すぐに売りたい」と思っても動けないリスクがあるため、値動きの激しい銘柄や短期売買を目的とした銘柄の移管には注意が必要です。長期保有を前提とした銘柄から優先的に進めるのが賢明です。
また、端株(100株未満の株)や投資信託の一部解約制限など、細かいルールも存在します。移管を行う際は、まとまった時間が取れるタイミングで、一つひとつの保有資産の状態を確認しながら進めるようにしてください。
| 項目 | 楽天証券(移管元) | SBI証券(移管先例) |
|---|---|---|
| 手続き方法 | Webまたは書類請求 | Webから申し込み |
| 主なコスト | 銘柄ごとに出庫手数料あり | 入庫は基本無料 |
| キャンペーン | 特になし | 手数料キャッシュバック制度あり |
| 所要期間 | 1〜2週間程度 | 同左 |
楽天証券を使い続けるメリットと判断基準

「改悪」という言葉ばかりが目立ちますが、楽天証券には依然として他社にはない強力なメリットも存在します。感情的に乗り換えるのではなく、冷静にメリットを再確認することも重要です。
圧倒的な使いやすさを誇るUIと分析ツール
楽天証券の最大にして最強の武器は、その操作性の良さです。パソコン版の「マーケットスピードⅡ」やスマホアプリの「iSPEED」は、多くのプロ投資家からも支持されるほど完成度が高いことで知られています。
情報の探しやすさ、注文の出しやすさ、資産状況の可視化など、初心者から上級者までストレスなく使える設計になっています。SBI証券へ乗り換えた人の多くが、最初に直面する壁は「画面の使いにくさ」だと言われるほど、楽天証券のUIは洗練されています。
投資において「スムーズに判断し、実行できること」は非常に重要です。システム面でのストレスを感じたくない人や、テクニカル分析を重視する人にとっては、楽天証券をメインで使い続ける価値は十分にあります。
楽天銀行との強力な連携「マネーブリッジ」
楽天証券と楽天銀行を連携させる「マネーブリッジ」の利便性は、依然として業界トップクラスです。証券口座にお金がなくても、銀行口座から自動で資金を移動して買い付けができる「自動入出金(スイープ)」機能は非常に便利です。
この機能のおかげで、証券口座にわざわざ入金する手間がなくなり、余った資金は自動的に銀行に戻って高金利(300万円まで0.1%)が適用されます。このシームレスな体験は、一度慣れるとなかなか離れがたいものです。
SBI証券も住信SBIネット銀行やSBI新生銀行との連携を強化していますが、設定の分かりやすさや資金移動の柔軟性においては、まだ楽天証券に分があると感じるユーザーが多いのが現状です。
日経新聞(日経テレコン)が無料で読める特典
楽天証券の口座を持っているだけで、日本経済新聞の有料記事を閲覧できる「日経テレコン(楽天証券版)」を無料で利用できます。これは、情報収集を重視する投資家にとって年間数万円分の価値があるサービスです。
通常、日経新聞の電子版を契約すると月額数千円かかりますが、楽天証券のアプリ経由であればこれをタダで購読できるわけです。これだけで、他社に乗り換えた際に発生する「情報収集コスト」を相殺できる可能性があります。
「ポイント還元が少し下がった」というデメリットと、「これほど質の高いツールや情報を無料で使える」というメリットを天秤にかけ、自分にとってどちらが重要かを判断することが、後悔しない選択への近道です。
楽天証券から乗り換える際の注意点とQ&A

いざ乗り換えを決め、手続きを進める段階でいくつか見落としがちなポイントがあります。トラブルを防ぎ、スムーズに移行するための最終チェックを行いましょう。
楽天カードや楽天銀行の利用状況への影響
楽天証券での積立をやめることで、楽天カードの利用額が減り、カードのランクアップ条件に影響が出る可能性があります。また、楽天銀行のハッピープログラムにおける特典(振込手数料無料回数など)が減少することも考えられます。
特に、楽天経済圏で生活を固めている人の場合、証券会社を変えることでトータルの還元ポイントが激減してしまうリスクがあります。乗り換え先のポイント還元率だけでなく、楽天経済圏全体で見た時の損得を再計算しておきましょう。
もし、楽天市場での買い物がメインであれば、あえて楽天証券に少額の積立を残しておくことで、SPUの条件をクリアし続けるという戦略も有効です。完全に縁を切るのではなく、最適な距離感を保つことが重要です。
自動積立設定の解除忘れに注意する
意外と多いミスが、他社へ乗り換えた後も楽天証券での「自動積立設定」が残ったままになってしまうことです。特にクレジットカード決済や楽天キャッシュ決済を設定している場合、翌月以降も決済が走り続けてしまいます。
二重に投資信託を買い付けてしまうと、想定外の資金不足に陥る可能性があります。NISA口座の変更手続きをするのと並行して、必ず現在動いている定期的な買い付け設定をすべて解除しておきましょう。
また、ポイントを利用した購入設定なども忘れずにチェックしてください。すべての設定をクリアにしてから、新しい証券会社での設定に移るのが鉄則です。
よくある質問:乗り換え期間中に配当金はどうなる?
移管の手続き中に配当の権利確定日を迎えた場合でも、配当金がもらえなくなることはありません。移管元の楽天証券、または移管先の証券会社を通じて、権利確定時の所有者に正しく支払われます。
ただし、受け取り形式を「株式数比例配分方式(証券口座で受け取る方法)」にしている場合、手続きのタイミングによっては入金先がどちらになるか少し分かりにくくなることがあります。不安な場合は、証券会社からの通知をこまめに確認しましょう。
また、「乗り換えは何回でもできるの?」という質問も多いですが、NISA口座の変更は1年に1回までと決められています。あまり頻繁に変えるのは手間がかかるため、一度決めたら少なくとも2〜3年は腰を据えて運用できる会社を選びましょう。
チェックリスト:乗り換え前にやるべきこと
・楽天カードの積立設定を解除したか?
・楽天キャッシュの残高はどうするか決めたか?
・SPUの倍率がどれくらい下がるか計算したか?
・新しい証券会社で同じ銘柄を扱っているか確認したか?
楽天証券の改悪に合わせた最適な乗り換え判断のポイント
楽天証券のサービス変更、いわゆる「改悪」をきっかけに乗り換えを検討することは、自分の資産運用環境を見直す絶好の機会です。しかし、表面的なポイント還元率の数字だけで判断するのは危険です。
結論として、以下のような方はSBI証券などへの乗り換えを強く推奨します。
・とにかく売買手数料を1円でも安く抑えたい人
・三井住友カードなど、楽天以外の経済圏をメインにしている人
・IPO(新規公開株)に積極的に応募して利益を狙いたい人
・特定の経済圏に縛られず、ポイントの出口を自由に選びたい人
一方で、システムの使いやすさや、楽天銀行とのシームレスな連携、日経新聞を無料で読める特典に価値を感じるなら、楽天証券を使い続ける選択肢も十分に「アリ」です。投資において、自分に合ったツールを使い続けることは、メンタルを安定させ長期運用を成功させるための重要な要素だからです。
最も避けたいのは、改悪に不満を感じながらも「面倒くさい」という理由で何もしないことです。今の環境が自分に合っているのか、それとももっと良い選択肢があるのか。この記事の内容を参考に、一度じっくりとご自身の運用スタイルを見つめ直してみてください。正解は一つではありませんが、納得して選んだ道こそが、あなたの資産を最も成長させてくれるはずです。



