20代の専業主婦がiDeCoを始めるべきか?NISAとの優先順位から無理のない掛金まで判断できる!

20代の専業主婦がiDeCoを始めるべきか?NISAとの優先順位から無理のない掛金まで判断できる!
20代の専業主婦がiDeCoを始めるべきか?NISAとの優先順位から無理のない掛金まで判断できる!
年代や職業別の運用

20代の専業主婦がiDeCoを始めるべきか考えるときは、若いうちから長く運用できる利点だけでなく、現在の収入、家計の余裕、今後の出産や住宅購入、再就職の予定まで含めて判断する必要があります。

iDeCoは老後資金を準備するための優れた制度ですが、原則として60歳まで資産を引き出せないため、教育費や生活費に使う可能性があるお金まで積み立てると、家計が苦しくなったときに対応できなくなるおそれがあります。

また、収入がない専業主婦は、iDeCoの代表的な利点である掛金の所得控除を十分に活用できないため、働いて所得税や住民税を納めている人とは制度の評価が異なります。

ここでは、20代の専業主婦がiDeCoを利用する意味、運用益が非課税になる効果、NISAとの優先順位、適切な掛金、金融機関や商品の選び方、就職や扶養変更があった場合の対応まで整理し、自分の家計に合った結論を出せるように説明します。

20代の専業主婦がiDeCoを始めるべきか

20代の専業主婦にとって、iDeCoは必ず加入すべき制度でも、収入がないから利用する意味がない制度でもありません。

老後まで使わないと決められる余剰資金があり、生活防衛資金や近い将来の支出を別に準備できているなら、長い運用期間を生かして少額から始める選択には合理性があります。

一方で、家計の貯蓄が少ない時期、出産や住宅購入を控えている時期、近いうちに使うお金まで投資に回さなければ掛金を用意できない状況では、引き出しやすい預貯金やNISAを優先したほうが安心です。

結論は家計の余裕で変わる

20代の専業主婦がiDeCoを始めるかどうかは、年齢の若さよりも、現在の家計に60歳まで動かせなくても困らないお金があるかによって決まります。

毎月の収支が黒字でも、自動車の購入、引っ越し、妊娠や出産、育児用品、住宅の頭金などに使う予定のお金しかない場合は、その資金をiDeCoへ入れるべきではありません。

反対に、急な支出に備える預貯金が確保され、数年以内に必要な資金も別に管理され、さらに老後へ回せる余剰資金が残るなら、月額5,000円程度から長期積立を始める方法が候補になります。

家計に余裕があるか判断するときは、配偶者の年収だけを見るのではなく、毎月の手取り、固定費、保険料、年間の特別支出、今後の働き方、子どもを持つ予定まで確認することが重要です。

始めるか迷った場合は、加入できる上限額を基準にするのではなく、数年間収入が減っても続けられる金額を基準にすると、家計を圧迫する失敗を避けやすくなります。

専業主婦も加入できる

会社員や公務員など厚生年金の被保険者に扶養されている20歳以上60歳未満の配偶者は、一般に国民年金の第3号被保険者となり、条件を満たせばiDeCoへ加入できます。

2026年6月時点における第3号被保険者の掛金上限は月額2万3,000円で、最低額は月額5,000円となり、1,000円単位で設定できます。

2026年12月には会社員や自営業者などを対象とする掛金上限の改正が予定されていますが、第3号被保険者については月額2万3,000円の上限が維持される予定であるため、専業主婦の上限が一律に引き上げられるわけではありません。

加入資格や掛金上限は公的年金の被保険者区分によって決まるため、自分が第3号被保険者に該当するか分からない場合は、配偶者の勤務先や年金事務所で確認する必要があります。

制度の加入条件は変更される可能性があるため、申し込み前にはiDeCo公式サイトの加入資格で最新の情報を確かめることが大切です。

所得控除は本人の所得に限られる

iDeCoの掛金は小規模企業共済等掛金控除の対象になりますが、控除できるのは加入者本人の所得であり、専業主婦が納めた掛金を配偶者の所得から差し引くことはできません。

収入がなく所得税や住民税を負担していない専業主婦は、掛金を拠出しても減らせる税金がないため、積立時の所得控除による節税効果を受けられません。

たとえば配偶者に高い所得があったとしても、専業主婦本人のiDeCo掛金によって配偶者の所得税や住民税が安くなるわけではないため、夫婦全体で節税できると誤解しないように注意が必要です。

パート収入や事業所得があり、各種控除を差し引いた後にも課税所得が残る場合は本人の税負担が軽くなる可能性がありますが、収入があるだけで必ず節税できるとは限りません。

専業主婦がiDeCoを評価するときは、所得控除を主な目的にするのではなく、運用益の非課税、老後資金を分けて管理できる強制力、将来再就職した後の所得控除まで含めて考える必要があります。

運用益の非課税は利用できる

所得控除を利用できない専業主婦でも、iDeCo口座内で投資信託などを運用して得た利益が非課税になる利点は利用できます。

通常の課税口座では投資による利益や分配金に税金がかかりますが、iDeCoでは運用中の利益を税金で減らされずに再投資できるため、長い期間では複利効果を得やすくなります。

20代で始めれば60歳まで30年以上の運用期間を確保できる可能性があり、毎月の掛金が少なくても、積立期間の長さが資産形成を後押しする点は大きな特徴です。

ただし、運用益が非課税であっても投資信託の価格が上昇する保証はなく、選んだ商品や相場環境によっては元本を下回ることがあります。

非課税という言葉だけで安全な制度だと判断せず、値動きのある商品を選ぶ場合は、短期的な下落を受け入れながら長期で保有する制度だと理解しておく必要があります。

長期運用は20代の強みになる

20代からiDeCoを始める最大の強みは、毎月多額の掛金を用意できることではなく、老後までの長い時間を運用に使えることです。

長期間にわたって一定額を積み立てれば、価格が高い時期には少ない口数を購入し、価格が低い時期には多くの口数を購入するため、特定の時期にまとめて投資するより購入価格を平準化しやすくなります。

仮に25歳から60歳まで毎月5,000円を35年間積み立てた場合、掛金の合計は210万円となり、一定の運用収益が得られれば最終的な資産額は掛金合計を上回る可能性があります。

ただし、将来の利回りは確定しておらず、一定の利回りを使ったシミュレーションは手数料や相場変動を正確に再現するものではないため、予想額を受取保証額のように扱ってはいけません。

若さの利点を生かす方法は最初から大きな金額を入れることではなく、生活を守れる範囲の掛金で早めに開始し、再就職や収入増加の後に必要に応じて見直すことです。

始める前に整えたい資金

iDeCoへ加入する前には、老後資金より先に、日常生活を守る預貯金と数年以内に使用する予定資金を確保する必要があります。

専業主婦世帯では収入源が配偶者に集中しやすいため、病気、休職、転職、賞与減少などが起きた場合でも一定期間生活できる現金を準備しておくことが特に重要です。

  • 日常の生活費
  • 緊急時の生活防衛資金
  • 出産や育児の予定資金
  • 住宅や自動車の購入資金
  • 帰省や家電買い替えの特別費
  • 60歳まで使わない老後資金

生活防衛資金の目安は世帯ごとに異なりますが、収入の安定性、毎月の固定費、利用できる公的保障、実家からの援助の有無などを踏まえ、少なくとも急な支出で投資資産を売らずに済む状態を目指します。

これらを分けたうえで老後専用のお金が残る場合にiDeCoを検討すると、掛金の支払いを続けるために生活費を削ったり、カードローンを利用したりする危険を減らせます。

向いている人と慎重に考えたい人

20代の専業主婦の中でも、老後まで使わない資金を明確に分けられる人と、近い将来に大きな支出を予定している人では、iDeCoの適性が異なります。

判断するときは、投資経験の有無だけではなく、家計の現金余力、収入の安定性、再就職の予定、値下がりへの耐性、途中で引き出せないことへの納得度を確認します。

判断項目 向いている状態 慎重に考える状態
家計 毎月安定した黒字 赤字の月がある
預貯金 緊急資金を確保済み 急な支出に弱い
資金用途 老後専用と決められる 数年以内に使う可能性
働き方 将来の計画が整理済み 収入の見通しが不明
値動き 下落時も継続できる 元本割れを許容できない

すべての項目が理想的でなければ始められないわけではありませんが、慎重に考える状態が複数ある場合は、まず預貯金やNISAで自由に使える資産を増やす方法が現実的です。

向いている状態が多い場合でも、上限額まで掛ける必要はなく、生活環境が変化しやすい20代では最低額に近い水準から始めることで柔軟性を残せます。

月額5,000円からでも意味がある

iDeCoは月額5,000円から始められるため、20代の専業主婦が最初から月額2万3,000円を用意する必要はありません。

上限まで積み立てれば将来の資産額を増やしやすくなりますが、掛金が高いほど60歳まで使えない金額も増えるため、家計の自由度とのバランスが重要です。

月額5,000円なら年間掛金は6万円、月額1万円なら年間12万円となるため、年払いの保険料、旅行、家電の買い替えなどを含めた年間収支に組み込めるかを確認します。

少額では手数料が掛金に占める割合が高くなりやすい点には注意が必要ですが、無理に掛金を増やして途中で家計を苦しくするより、継続可能な金額を選ぶほうが長期積立には適しています。

将来パート勤務や正社員として働き始め、課税所得が生じた後に掛金を増やせば、所得控除を受けながら老後資金を積み立てられる可能性があります。

専業主婦が得られるiDeCoのメリット

専業主婦は掛金の所得控除を利用できない場合が多いものの、運用中の非課税、受取時の控除、老後資金を生活資金と分けられる仕組みなど、複数の利点があります。

特に20代は運用期間を長く確保しやすいため、毎月の掛金が小さくても、積立を継続する習慣と非課税運用の時間を得られる点に意味があります。

ただし、メリットの大きさは選ぶ商品、手数料、将来の所得、受取時の税制などによって変わるため、加入しただけで必ず得をする制度ではありません。

利益を非課税で再投資できる

iDeCo口座内で生じた運用益は原則として非課税で再投資されるため、利益に税金がかかる課税口座より資産を効率よく育てられる可能性があります。

運用で得た利益を元本へ加え、その合計を再び運用する複利の効果は、運用期間が長くなるほど表れやすいため、20代から始めることと相性が良い仕組みです。

  • 運用益をそのまま再投資
  • 長期運用と相性が良い
  • 積立による購入時期の分散
  • 少額から継続可能
  • 商品変更にも対応

ただし、非課税になるのは利益が出た場合であり、運用商品の価格が下がれば資産額も減少するため、非課税制度と元本保証を混同してはいけません。

短期間の値動きに反応して売買を繰り返すより、運用目的と資産配分を決め、年に一度程度の確認を続けるほうが老後資金として管理しやすくなります。

老後資金を分けて管理できる

iDeCoは原則60歳まで自由に引き出せないため、日常の支出や一時的な欲しい物のために老後資金を使ってしまうことを防ぎやすい制度です。

普通預金や引き出し可能な投資口座では、残高が増えると旅行、家具、車、住宅の頭金などへ回したくなることがありますが、iDeCoなら制度上の制約によって老後資金を別枠で管理できます。

管理方法 引き出し 主な用途
普通預金 いつでも可能 生活費と緊急資金
NISA 売却して利用可能 中長期の幅広い目的
iDeCo 原則60歳以降 老後資金

この強制力は、貯蓄を取り崩しやすい人にはメリットになりますが、家計に余裕がない人には資金拘束というデメリットになるため、同じ特徴でも評価が分かれます。

老後資金を確実に分けたい場合でも、全額をiDeCoへ入れず、自由に使える預貯金やNISAと組み合わせることで、将来への備えと現在の安心を両立しやすくなります。

再就職後に節税効果が生まれる可能性

加入時点では収入がなくても、将来パート勤務や正社員として働き、課税所得が生じれば、その後に支払うiDeCo掛金が本人の所得控除に役立つ可能性があります。

20代は今後の就業期間が長くなる可能性があり、育児が落ち着いてから働き始める予定がある人にとっては、老後資金の積立を先に習慣化できる点が利点です。

ただし、就職すると国民年金の被保険者区分が第3号から第2号へ変わることがあり、勤務先の企業年金制度によってiDeCoの掛金上限や手続きが変化します。

被保険者区分の変更届を出さないままにすると掛金の引き落としが一時停止される場合があるため、就職、転職、退職、扶養から外れたときは利用している金融機関へ速やかに連絡する必要があります。

現在の節税効果だけでなく、将来の働き方と制度変更への対応まで見据えれば、iDeCoを長期間利用する意味を判断しやすくなります。

加入前に知りたいデメリット

iDeCoには税制上の利点がある一方で、60歳までの資金拘束、継続的な手数料、元本割れ、各種手続きなど、加入後に簡単には避けられない注意点があります。

特に収入のない専業主婦は所得控除による即時の節税効果がないため、手数料や資金拘束を差し引いても利用する価値があるかを慎重に比較する必要があります。

メリットだけを見て口座を開設するのではなく、妊娠、出産、育児、再就職、住宅購入など、20代から起こりやすい生活の変化を想定して判断することが大切です。

原則60歳まで引き出せない

iDeCoで積み立てた資産は、一定の例外を除き原則として60歳になるまで自由に引き出せないため、途中で教育費や住宅費が必要になっても解約して現金化することはできません。

加入期間などによっては60歳になった時点ですぐ受け取れない場合もあり、60歳から受給するには原則として通算加入者等期間が10年以上必要になります。

  • 出産や育児の費用
  • 子どもの教育費
  • 住宅購入の頭金
  • 病気や介護の支出
  • 収入減少時の生活費
  • 自動車の購入費

これらの支出に使う可能性があるお金は、引き出し可能な預貯金やNISAで管理し、iDeCoには老後まで使わないと決められる資金だけを回す必要があります。

掛金の拠出を止めることはできますが、それまでに積み立てた資産を自由に引き出せるようになるわけではなく、運用のみを続ける間にも所定の管理手数料がかかります。

少額でも手数料が発生する

iDeCoでは加入時、掛金の収納時、資産管理時、給付時などに手数料が発生し、金融機関によっては独自の運営管理手数料が加わる場合があります。

運営管理手数料が無料の金融機関でも、国民年金基金連合会や信託銀行などへ支払う共通手数料は必要になるため、完全に費用ゼロで利用できるわけではありません。

費用 確認する点
加入時手数料 初回のみの金額
掛金収納手数料 拠出ごとの負担
資産管理手数料 毎月の固定費
運営管理手数料 金融機関ごとの差
信託報酬 商品の保有コスト
給付手数料 受取回数による負担

毎月の掛金が少ないほど固定手数料が掛金に占める割合は高くなるため、月額5,000円で始める場合は、金融機関の手数料と投資信託の信託報酬を特に丁寧に比較します。

手数料だけで金融機関を決めるのではなく、低コスト商品の有無、商品数の分かりやすさ、ウェブサイトの使いやすさ、問い合わせ窓口なども含めて選ぶことが重要です。

元本割れとインフレのリスクがある

投資信託で運用する場合は、国内外の株価、金利、為替、企業業績などの変動によって評価額が下がり、積み立てた掛金の合計を下回る可能性があります。

価格下落が不安だからと定期預金などの元本確保型商品だけを選ぶ方法もありますが、低金利の状態では手数料を上回る収益を得にくく、物価上昇によって実質的な購買力が低下するリスクがあります。

株式中心の商品は大きな値動きが起こりやすい一方で長期的な成長を期待しやすく、債券や元本確保型商品は値動きを抑えやすい一方で期待収益が低くなる傾向があります。

どの商品が適切かは、下落時にどこまで耐えられるか、何年間運用できるか、他の預貯金や投資資産をどれだけ持っているかによって変わります。

元本割れを絶対に避けたい人は、税制上の利点だけで投資信託を選ばず、手数料を含めた元本確保型商品の結果や、そもそもiDeCoへ加入しない選択も比較する必要があります。

NISAとの優先順位を決める

20代の専業主婦が資産形成を始める場合、iDeCoだけでなく、運用益が非課税となり、必要なときに売却できるNISAも有力な選択肢です。

収入がなくiDeCoの所得控除を利用できない時期は、資金の引き出しやすさを重視してNISAを先に利用し、余裕資金が増えた段階でiDeCoを追加する順番が合う人も少なくありません。

どちらか一方が常に優れているわけではなく、老後専用のお金はiDeCo、教育費や住宅費にも使う可能性があるお金はNISAというように目的で分けると判断しやすくなります。

自由度を重視するならNISA

NISAで購入した商品は、必要に応じて売却し、現金化できるため、出産、教育、住宅、自動車、再就職の準備など、老後以外にも使う可能性がある資金を運用しやすい制度です。

2024年からのNISAでは非課税保有期間が無期限となり、つみたて投資枠と成長投資枠を併用できますが、年間投資枠を使い切る必要はなく、家計に合わせた少額積立も可能です。

  • 必要時に売却可能
  • 運用益が非課税
  • 掛金の固定義務なし
  • 積立額を変更しやすい
  • 老後以外にも利用可能

ただし、引き出しやすいことは、相場が下落したときに慌てて売却したり、老後資金を別の用途へ使ったりしやすいという弱点にもなります。

NISAを優先する場合でも、投資資金と生活防衛資金を分け、数年以内に使う予定のお金を値動きの大きい商品へ入れないことが基本です。

老後専用ならiDeCoが候補

iDeCoは原則60歳まで引き出せない代わりに、老後資金を他の目的から切り離して積み立てられるため、将来のお金を確実に残したい人に向いています。

再就職して課税所得が生じれば掛金の所得控除を利用できる可能性があり、運用中の非課税と受取時の控除も含めると、老後専用制度としてNISAより有利になる場合があります。

比較項目 iDeCo NISA
主な目的 老後資金 幅広い資産形成
途中売却 原則不可 可能
所得控除 掛金が対象 なし
運用益 非課税 非課税
口座手数料 所定の費用あり 金融機関による
商品範囲 金融機関の採用品 対象商品から選択

収入のない専業主婦はiDeCoの所得控除を受けにくいため、途中売却できない制約と手数料を受け入れてでも老後資金を分けたいかが重要な判断点になります。

制度の自由度だけで比較するのではなく、将来の自分が資金を取り崩してしまう可能性や、再就職後の節税効果も含めて選ぶことが大切です。

併用は月額の配分から考える

家計に十分な余裕がある場合は、NISAとiDeCoのどちらか一方に限定せず、資金の使用時期に応じて併用する方法があります。

たとえば毎月1万5,000円を資産形成へ回せる場合、自由に使える中長期資金としてNISAへ1万円、老後専用資金としてiDeCoへ5,000円を積み立てる配分が考えられます。

一方で、現金の貯蓄が少ない世帯が投資枠を埋めるために両制度を併用すると、急な支出に対応できなくなるため、制度の上限より家計全体の余裕を優先しなければなりません。

配分は一度決めたら固定するものではなく、出産前は現金を厚くし、育児中は少額を継続し、再就職後にNISAやiDeCoの積立額を増やすように、生活段階に合わせて変えることができます。

夫婦で資産形成を行う場合は、それぞれの預貯金、NISA、iDeCo、勤務先の企業年金、退職金見込みを一覧にし、同じ目的の資金を重複して積み立てていないか確認すると効率的です。

無理なく始めるための判断手順

iDeCoを始めると決めた後は、掛金を先に決めるのではなく、家計の確認、金融機関の比較、運用商品の選定という順番で準備します。

20代は今後の生活変化が大きいため、現在支払える最大額ではなく、収入が減った場合や支出が増えた場合でも継続しやすい金額を設定することが重要です。

申し込み後に放置するのではなく、就職や扶養変更の手続き、年に一度の運用確認、必要に応じた掛金や資産配分の見直しまで含めて利用計画を立てます。

家計を三つの資金に分ける

最初に、世帯のお金を生活に使う資金、数年以内に使う予定資金、老後まで使わない長期資金の三つに分けます。

口座残高の合計だけを見ると余裕があるように感じても、固定資産税、保険料、帰省費、家電購入、車検などの年間支出を差し引くと、投資へ回せる金額が少ないことがあります。

  • 生活費用の普通預金
  • 緊急時の予備資金
  • 数年以内の予定資金
  • NISAで運用する中長期資金
  • iDeCoへ入れる老後資金

生活防衛資金と予定資金を確保した後に残る金額が少なければ、iDeCoを急いで始めず、預貯金を増やすことも立派な資産形成です。

配偶者から生活費を受け取っている場合でも、iDeCoの掛金は第3号被保険者本人名義の口座から引き落とす必要があるため、引落口座の残高管理も忘れないようにします。

金融機関と商品を比較する

iDeCoは原則として一つの金融機関を選んで利用するため、口座管理手数料、商品構成、信託報酬、サポート、画面の使いやすさを比較して申し込み先を決めます。

商品数が多い金融機関が必ず優れているわけではなく、初心者には、低コストの国内外株式インデックス型、バランス型、元本確保型など、目的の異なる商品が分かりやすくそろっていることが重要です。

比較項目 見るポイント
運営管理手数料 毎月の追加費用
投資信託 低コスト商品の有無
信託報酬 長期保有の費用
商品数 選びやすい範囲
管理画面 残高確認のしやすさ
サポート 手続き時の相談先

投資経験が少ない場合は、人気ランキングだけで商品を選ばず、投資対象、値動き、信託報酬、為替の影響、資産配分を確認します。

金融機関の変更は可能ですが、手続きに時間がかかり、その間に運用できない期間や移換手数料が発生する場合があるため、最初に長期利用を前提として比較することが大切です。

生活変化に合わせて見直す

iDeCoの掛金額は所定の期間内に原則年1回変更でき、掛金の拠出を停止して運用だけを続けることもできるため、家計が変化したときは無理に同じ金額を維持する必要はありません。

妊娠や出産で支出が増えた場合、配偶者の収入が減った場合、住宅購入を予定する場合は、投資額より手元資金を優先し、必要に応じて掛金の減額や停止を検討します。

反対に、再就職して収入が増え、生活防衛資金も十分に確保できた場合は、所得控除による効果を確認しながら掛金を増やす選択があります。

就職によって第2号被保険者になったとき、扶養を外れて第1号被保険者になったとき、再び第3号被保険者になったときは、加入区分の変更届が必要です。

年に一度は残高、損益、資産配分、手数料、家計の余裕、利用目的を確認し、短期的な値下がりだけで商品を変更するのではなく、当初の計画と現在の状況が合っているかを見直します。

20代から老後資金を育てる考え方

20代の資産形成では、老後のために現在の生活を過度に切り詰めるのではなく、現金、NISA、iDeCoを役割ごとに分け、長く続けられる仕組みを作ることが重要です。

収入のない専業主婦は、まず世帯の生活基盤を整え、その後に将来の就業計画や夫婦の年金資産を確認し、自分名義の老後資金をどの程度持つか考えます。

相場の予測や一時的な節税額だけで決めるのではなく、30年以上継続する可能性がある制度として、自分が管理できる方法を選ぶ必要があります。

自分名義の資産を持つ

専業主婦世帯では、預貯金や投資口座が配偶者名義に偏ることがありますが、自分名義の資産を形成しておくことは、老後の安心と家計状況の把握につながります。

iDeCoの資産は加入者本人の年金資産として管理されるため、夫婦の老後資金を配偶者の退職金や公的年金だけに依存せず、自分の将来資金を積み立てられます。

  • 自分名義の普通預金
  • 自分名義のNISA
  • 自分名義のiDeCo
  • 再就職後の厚生年金
  • 夫婦共通の生活資金

ただし、名義を分けることだけを目的に家計の余裕を超えて積み立てる必要はなく、夫婦で資産状況と将来計画を共有しながら適切な金額を決めます。

配偶者の収入、退職金、企業年金、公的年金見込み、自分の再就職後の収入などを合わせて確認すると、老後資金の不足を必要以上に恐れて過剰な掛金を設定することを防げます。

掛金は長く続けられる額にする

iDeCoの掛金を決めるときは、現在の黒字額ではなく、収入減少や支出増加が起きても積立を続けられる金額を基準にします。

月額2万3,000円の上限まで積み立てられる家計でも、出産後に育児費が増えたり、住宅ローンを組んだりすれば、同じ掛金が負担になる可能性があります。

掛金例 年間掛金 考え方
月額5,000円 6万円 少額で習慣化
月額1万円 12万円 余裕を確認して継続
月額1万5,000円 18万円 予定支出との調整が必要
月額2万3,000円 27万6,000円 十分な余剰資金が前提

月額5,000円では少なすぎると感じる人もいますが、35年間続ければ掛金だけで210万円となるため、少額でも積立期間を長く確保する意味があります。

最初は少額に設定し、再就職、昇給、固定費削減などで家計の余裕が増えた段階で見直す方法なら、20代の生活変化にも対応しやすくなります。

受取時の税金まで意識する

iDeCoの資産は、原則として60歳以降に一時金、年金、または金融機関によっては両方を組み合わせて受け取ります。

一時金で受け取る場合は退職所得控除、年金で受け取る場合は公的年金等控除の対象になりますが、控除があるから必ず無税になるわけではありません。

将来会社員として働いて退職金を受け取る場合は、iDeCoの一時金を受け取る時期との関係で退職所得控除の計算が変わる可能性があり、公的年金と年金形式のiDeCoを同時に受け取れば税負担が生じる場合もあります。

20代の時点で数十年後の税制や勤務先の退職金を正確に予測することはできないため、加入時には受取時にも課税関係があることを理解し、受給開始が近づいた段階で最新制度を確認する姿勢が必要です。

受取方法は将来の収入、退職金、公的年金、配偶者の収入、医療費や社会保険料などを踏まえて決めるため、積立時の節税額だけでiDeCoの有利不利を断定しないことが大切です。

家計を守りながら少額で検討しよう

まとめ
まとめ

20代の専業主婦にとってiDeCoは、生活防衛資金と近い将来に使うお金を確保したうえで、老後まで動かさない余剰資金がある場合に検討できる制度です。

収入がなく課税所得もない時期は掛金の所得控除による節税効果を得られませんが、運用益の非課税、長期運用、自分名義の老後資金を作れることには意味があります。

一方で、原則60歳まで引き出せず、手数料や元本割れの可能性もあるため、出産、教育、住宅購入、再就職などに使う可能性がある資金は、預貯金や売却可能なNISAで管理するほうが適しています。

加入する場合は上限額を目指さず、月額5,000円など長く続けられる金額から始め、就職や扶養変更があったときに必要な届出を行い、家計の余裕と課税所得に合わせて掛金を見直します。

iDeCoを始めること自体を目的にせず、現在の生活を安定させながら将来の選択肢を増やす手段として、NISAや預貯金との役割分担を決めることが、20代から無理なく老後資金を育てる基本です。

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