産休・育休中も積立は継続すべき?無理なく資産運用を続けるためのポイントと判断基準

産休・育休中も積立は継続すべき?無理なく資産運用を続けるためのポイントと判断基準
産休・育休中も積立は継続すべき?無理なく資産運用を続けるためのポイントと判断基準
年代や職業別の運用

産休や育休に入ると、これまでのように給料が入らなくなるため、家計に不安を感じる方は少なくありません。特に、将来のためにと始めていた新NISAやiDeCoなどの積立投資を、このまま継続してよいのか、それとも一度停止すべきなのかは非常に悩ましい問題です。

収入が「育児休業給付金」のみになる期間は、家計管理の仕方もこれまでとは異なります。無理に投資を続けて生活が苦しくなっては本末転倒ですが、安易にやめてしまうと長期投資の恩恵を逃してしまう可能性もあります。

この記事では、産休・育休中に積立を継続するメリットや、収入減に伴う判断基準、具体的な手続きについて分かりやすく解説します。大切なのは、現在の生活を守りながら、将来の資産形成を止めないバランスを見つけることです。

産休・育休中の積立投資を継続するメリットと知っておきたい基本知識

産休や育休の期間は、人生における大きな変化の時期です。この時期に積立投資を継続することには、単にお金を増やす以上の意味があります。まずは、継続することで得られる長期的なメリットを正しく理解しておきましょう。

長期投資の複利効果を途切れさせない

資産運用の大きなメリットの一つに「複利効果」があります。これは、運用で得た利益を再び投資に回すことで、利益がさらなる利益を生み出していく仕組みのことです。複利効果は運用期間が長ければ長いほど、雪だるま式に資産を大きくしてくれます。

産休や育休で積立を数年間停止してしまうと、その期間の複利の恩恵を受けられなくなるだけでなく、資産形成のスピードが大きく鈍ってしまいます。たとえ少額であっても、運用を止めずに「市場に居続けること」が、将来の大きな資産形成につながるのです。

もし毎月の積立額が負担に感じるのであれば、全額停止するのではなく、最低金額(ネット証券なら100円から可能な場合もあります)に減額してでも継続することを検討してみましょう。継続しているという事実が、復職後のスムーズな増額にもつながります。

ドル・コスト平均法によるリスク分散の継続

積立投資の強みは、一定額を定期的に購入し続ける「ドル・コスト平均法」にあります。価格が高いときには少なく、価格が低いときには多くの口数を購入するため、長期的に見れば平均購入単価を抑えることができる合理的な手法です。

産休・育休中に市場が大きく下落することもあるかもしれません。しかし、その時に積立を継続していれば、安い価格でたくさんの資産を買い込むチャンスになります。ここでやめてしまうと、後から振り返ったときに「あの時買っておけばよかった」と後悔することになりかねません。

投資において、いつが買い時かを判断するのはプロでも難しいものです。機械的に買い続ける積立投資は、感情に左右されずに資産を増やすための有効な手段です。育児で忙しい時期だからこそ、手間のかからない自動積立のメリットを最大限に活かしましょう。

育児休業給付金を活用した積立の考え方

産休・育休中は無給になる期間がありますが、雇用保険から「出産育児一時金」や「育児休業給付金」が支給されます。これらの給付金は、原則として非課税であり、社会保険料の免除も受けられるため、額面以上の手取り感があることも特徴です。

給付金は「生活を支えるためのもの」ですので、まずは日々の支出をカバーすることが最優先です。しかし、事前に貯蓄していた「生活防衛資金」が十分にある場合は、給付金の一部を投資に回すことも決して無理なことではありません。

多くの家庭では、産休・育休に入ると外食費や交際費、通勤に関連する費用が減少する傾向にあります。家計の収支を一度見直し、浮いた費用を積立に充てることができれば、収入が減った状態でも無理なく資産運用を継続することが可能です。

産休・育休中の社会保険料免除について

産前産後休業および育児休業期間中は、健康保険や厚生年金の保険料が本人負担・会社負担ともに免除されます。免除期間中も将来の年金額には反映されるため、家計にとっては大きな助けとなります。この浮いた保険料分を積立の原資として考えるのも一つの方法です。

NISAでの積立を継続する方法と減額の判断基準

新NISA(少額投資非課税制度)は、利益に税金がかからない非常に有利な制度です。産休・育休中でもこの非課税枠を上手に活用したいところですが、収入の変化に合わせて柔軟に対応する必要があります。

積立金額の変更方法とタイミング

NISAのつみたて投資枠を利用している場合、多くのネット証券ではオンライン上で簡単に積立金額の変更が可能です。毎月の積立額を5万円から1万円に減らす、あるいは逆に余裕がある時に増やすといった操作は数分で完了します。

金額変更のタイミングとしては、産休に入る1〜2ヶ月前を目安に家計のシミュレーションを行い、早めに手続きを済ませておくのが理想的です。育児が始まると想像以上に忙しく、手続きを忘れてしまうことが多いためです。

変更した金額が実際に反映されるまでには、証券会社や引き落とし方法(銀行振込かクレジットカード決済かなど)によって数週間のタイムラグが生じることがあります。余裕を持って設定を見直すことで、「引き落とし不能」による意図しない停止を防ぐことができます。

非課税枠を無駄にしないための考え方

新NISAでは、年間360万円(つみたて投資枠120万円、成長投資枠240万円)の非課税投資枠が設定されています。産休・育休中に積立を減額したり停止したりすると、その年の枠を使い切れないことがありますが、過度に焦る必要はありません。

新NISA制度では、使わなかった非課税枠は翌年以降も消滅せず、生涯の非課税限度額(1,800万円)の範囲内であればいつでも利用可能です。つまり、育休中に投資額を減らしたとしても、復職して収入が戻ってから再度投資額を増やせば、長期的には制度の恩恵をフルに受けられます。

「枠を使い切らなければ損」と考えて、生活費を削ってまで投資に回すのは避けましょう。今の生活の安定があってこその資産運用です。育休期間中は「枠を使い切ること」よりも「投資習慣を維持すること」に重点を置くのが賢明な判断といえます。

現金が必要になった時の売却判断基準

産休・育休中は予期せぬ出費が重なることがあります。急な医療費やベビー用品の購入などで現金が不足した場合、積立を止めるだけでなく、すでに運用している資産の一部を売却して現金化することも選択肢に入ります。

売却を検討する際の判断基準は、まず「生活防衛資金」が底をついていないかどうかです。生活防衛資金とは、病気や災害などに備えて確保しておくべき現金のことで、一般的に生活費の3〜6ヶ月分が目安とされます。これに手をつける状況であれば、迷わず資産の売却を検討すべきです。

ただし、相場が暴落している時に慌てて売却するのは避けたいものです。可能であれば、産休に入る前に余裕を持った現金を手元に残しておき、「投資資産を売らなくても済む状態」を整えておくことが、精神的な安定にもつながります。

積立継続か停止かのチェックリスト

1. 生活費の3ヶ月分以上の現金が手元にあるか

2. 育児休業給付金の受取時期を把握しているか

3. 月々の収支が(給付金+αで)赤字にならないか

4. 復職の目処が立っており、将来の収入源が見込めるか

これらが全て「はい」であれば、積立の継続を前向きに検討しましょう。

iDeCo(イデコ)の掛け金はどうする?休止・継続のメリット・デメリット

iDeCoは私的年金制度であり、節税メリットが非常に大きいのが魅力です。しかし、産休・育休中には「所得税・住民税の節税」という最大のメリットが薄れる可能性があるため、戦略的な判断が求められます。

所得がない期間の所得控除メリットの消失

iDeCoの最大のメリットは、支払った掛け金の全額が所得控除の対象となり、所得税や住民税が安くなることです。しかし、産休・育休中で給与収入がなくなり、所得税が発生しない期間については、この控除の恩恵を受けることができません。

例えば、育児休業給付金は非課税所得ですので、そこからiDeCoの掛け金を払っても所得控除を受ける対象となる所得が存在しません。この場合、iDeCoの「入り口」での節税効果はゼロになりますが、運用中の利益が非課税になるメリットは引き続き享受できます。

つまり、育休中は「節税効率」という点では通常時より劣ることになります。もし家計に余裕がないのであれば、節税メリットが受けられない期間だけ掛け金を最低金額(5,000円)に変更する、あるいは一時的に停止するのも合理的な判断です。

掛け金の停止・再開の手続きと手数料

iDeCoの掛け金を停止したり、再開したりするには書類の提出が必要です。NISAのようにネット上で即座に変更することはできず、「加入者中断届」などの書類を運営管理機関(証券会社など)へ送付する手間がかかります。

注意したいのは、掛け金を停止して「運用指図者(掛け金を払わず運用だけ続ける人)」になった場合でも、毎月の口座管理手数料が発生し続ける点です。手数料は金融機関によりますが、毎月数百円が資産から差し引かれます。

長期間停止し続けると、手数料によって資産が目減りしてしまうため、できれば最低額の5,000円でも継続することをおすすめします。少額でも拠出を続けていれば「加入者」としての立場が維持され、復職後の金額アップも比較的スムーズに行えます。

専業主婦(主夫)への種別変更が必要なケース

産休・育休中に会社員としての籍がある場合は、第2号被保険者のままであり、iDeCoの登録区分を変更する必要はありません。しかし、育休を機に退職して専業主婦(主夫)になる、あるいは扶養に入る場合は、種別変更の手続きが必要です。

第3号被保険者(扶養内)に変わる場合、掛け金の拠出限度額が月額23,000円に変わるなど、ルールの適用が変化します。これを放置しておくと、将来の受給時にトラブルになったり、手続きが煩雑になったりする可能性があるため注意が必要です。

職場復帰を前提としている育休期間であれば、基本的にはそのままの区分で問題ありませんが、住所変更や氏名変更(改姓)がある場合は速やかに届け出ましょう。iDeCoは「長期的な契約」ですので、ライフイベントに合わせたメンテナンスが欠かせません。

iDeCoの掛け金変更は年に1回しかできません。産休・育休期間を見据えて変更を行う際は、復職のタイミングまで考慮して慎重に金額を決めましょう。

収入減に備える産休・育休中の家計管理と積立資金の捻出術

投資を継続するためには、まず足元の家計が安定していることが絶対条件です。収入が減る産休・育休期間を乗り切るための、具体的かつ実践的な家計管理のコツを見ていきましょう。

生活防衛資金の確保を最優先にする

産休・育休に入る前に、何よりも優先すべきは「生活防衛資金」の確保です。これは、急な病気やケガ、あるいは給付金の支給が遅れた場合に備えるための現金です。育児休業給付金は、申請から初回の振り込みまで数ヶ月かかるケースも珍しくありません。

投資は「余剰資金」で行うのが鉄則です。もし手元に現金が少なく、毎月の生活が給付金ギリギリになるのであれば、積立投資を継続するよりも現金を貯めることを優先すべきです。「何かあっても大丈夫」という心の余裕があってこそ、投資を長く続けることができます。

目安としては、毎月の支出の半年分程度の現金が銀行口座にある状態を目指しましょう。この資金が確保できていれば、市場が一時的に暴落しても慌てて資産を切り崩す必要がなくなり、結果として投資の成功率を高めることができます。

夫婦で資産形成の方向性を再確認する

産休・育休は、夫婦で将来のお金について話し合う絶好の機会です。一人の収入が減り、家族が増えるこのタイミングで、現在の積立額が家族の将来(教育資金、住宅購入、老後資金)に対して適切かどうかをすり合わせましょう。

よくあるトラブルが、夫(あるいは妻)が投資に積極的で、もう一方が不安を感じているケースです。特に収入が減っている時期に、一方が独断で高額な積立を続けていると、家計への不満につながりかねません。共有の家計簿アプリなどを活用し、資産の状況を「見える化」することが大切です。

「育休中の2年間は積立を半分にするけれど、復職したら元に戻そう」「子供の児童手当は全額貯金しよう」といった具体的なルールを共有しておくことで、協力して資産形成に取り組めるようになります。夫婦二人三脚での投資は、リスク管理の観点からも非常に有効です。

固定費の見直しで積立資金を確保する

収入が減る中で積立を継続するためには、支出を削る工夫も必要です。特に効果が大きいのが、一度見直せばずっと効果が続く「固定費」の削減です。育休中は家にいる時間が長くなるため、サブスクリプションサービスや通信費のプランを見直すチャンスです。

例えば、スマホを格安SIMへ乗り換える、不要な保険を解約・見直す、通っていないジムの退会手続きをする、といったアクションです。これらで浮いた1万円をそのまま積立に回せば、実質的な家計の痛みなしに投資を継続できます。

また、住宅ローンの借り換えや電力会社の切り替えなど、まとまった時間が取れる育休中だからこそ取り組める節約術もたくさんあります。支出の「穴」を塞ぐことで、「投資に回せるお金」を自ら作り出す意識を持つことが、資産形成を加速させる秘訣です。

見直し項目 削減のポイント 期待できる効果
通信費 格安SIMへの変更、不要なオプション解約 月数千円〜1万円程度
保険料 重複した保障の整理、掛け捨てへの変更 月数千円〜1万円以上
サブスク 利用頻度の低い動画・音楽サービスの解約 月千円〜数千円
住居費 住宅ローンの金利見直し・借り換え検討 月数千円〜

産休・育休明けの復職を見据えた積立シミュレーションの重要性

育休中のことだけでなく、その後の生活についても考えておくことが大切です。復職後の生活スタイルや収入の変化をあらかじめ想定しておくことで、今の積立額が妥当かどうかを判断しやすくなります。

教育資金の準備と積立額のバランス

子供が生まれると、将来の「教育資金」の準備が現実的な課題として浮上します。一般的に、大学入学までの資金を準備するためには、早い段階からの積立が有利です。NISAのつみたて投資枠などを教育資金の準備として活用する方も増えています。

しかし、教育資金だけに全力を注ぎ、自分たちの老後資金の準備が疎かになってはいけません。産休・育休中の今は、「教育費」と「老後資金」のバランスを改めて考え直す時期です。児童手当を投資に回すのか、それとも現金で貯めておくのか、シミュレーションをしてみましょう。

将来必要になる金額から逆算して、毎月いくら積み立てれば目標に届くのかを計算してみると、今の積立を「止めるべきではない」というモチベーションにつながることもあります。長期的な視点を持つことで、目先の収支の増減に一喜一憂しなくなります。

時短勤務による収入減を想定したプランニング

復職後、フルタイムではなく時短勤務を選択する方も多いでしょう。時短勤務になると、育休前よりも給与が下がる場合があります。また、子供の急な病気で仕事を休まざるを得ず、欠勤控除で手取りが減る可能性も考慮しておく必要があります。

「復職すればまたガンガン積み立てられる」と楽観視しすぎず、時短勤務時の手取り額を想定した現実的な積立プランを立てておくことが重要です。復職直後は保育料などの新しい支出も発生するため、しばらくは家計の安定を優先した設定にしておくのが無難です。

逆に、時短勤務期間が終わってフルタイムに戻ったタイミングで、自動的に積立額を増やす設定を忘れないようにしましょう。ライフステージの変化に合わせて、投資のアクセルとブレーキを柔軟に使い分けることが、長く続けるためのコツです。

ライフイベントの変化に強いポートフォリオ作成

産休・育休を経験すると、これまでの「自分一人」または「夫婦二人」の時とは、リスクに対する考え方が変わることがあります。家族が増えたことで、より安全性を重視した運用を好むようになるのは自然なことです。

もし現在の運用が、ハイリスク・ハイリターンな銘柄に偏っていると感じるなら、この機会にポートフォリオ(資産の組み合わせ)を見直してみるのも良いでしょう。全世界株式やバランス型のファンドなど、長期で安定して持てる銘柄を主軸に据えることで、育児中の精神的な負担を減らせます。

投資は、夜ぐっすり眠れる範囲で行うのが理想です。株価の変動が気になって育児に集中できないようであれば、それはリスクの取りすぎかもしれません。家族の幸せを守るための投資であることを忘れず、自分たちに合った適切なリスク許容度を見極めましょう。

児童手当を活用した積立について

2024年10月から児童手当の制度が拡充され、支給期間が高校卒業まで延長されました。この児童手当を「最初からなかったもの」として全額NISA等での積立に回すと、複利の力で将来の教育資金を効率よく準備できます。ぜひ検討してみてください。

産休・育休中の積立継続を無理なく成功させるためのまとめ

まとめ
まとめ

産休や育休中であっても、積立投資を継続することには大きな価値があります。将来の資産形成を有利に進めるためには、複利効果を途切れさせず、価格変動リスクを抑えるドル・コスト平均法を味方につけ続けることが大切だからです。

一方で、収入が減少するこの時期に、無理をして投資を続ける必要はありません。家計の状況を冷静に見極め、まずは生活防衛資金を確保しましょう。現金に余裕がない場合は、積立額を最低金額に減額したり、一時的に停止したりすることも賢い選択です。新NISAであれば、後からでも非課税枠を有効活用できます。

iDeCoについては、所得控除のメリットが受けられない期間があることを理解した上で、口座管理手数料による目減りを防ぐためにも、最低額での継続を軸に検討するのがおすすめです。夫婦でお金の価値観を共有し、将来のシミュレーションを行うことで、納得感のある資産運用が可能になります。

大切なのは、「0か100か」で考えないことです。産休・育休という特別な期間を、自分たちの家計を見直し、より強固な資産形成の土台を作るチャンスと捉えてみてください。無理のない範囲で投資の習慣を維持することが、数十年後の豊かな生活へとつながっていきます。

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