「一人暮らしは家賃や生活費が高く、投資に回すお金なんて残らない」「毎月ぎりぎりなのに、投資を始めても大丈夫なのだろうか」と悩んでいませんか。
結論からお伝えすると、家計が赤字だったり、急な出費に対応できる貯金がなかったりする場合は、無理に投資を始める必要はありません。投資より先に、毎月の生活を安定させることが優先です。
一方、毎月1,000円や3,000円程度でも安定して残せるのであれば、生活に影響しない範囲から投資を経験することはできます。大切なのは、周囲の投資額と比べることではなく、自分の家計に合った金額を決めることです。
この記事では、一人暮らしで投資を始めてもよい人と、今は始めないほうがよい人の違いを整理したうえで、少額から無理なく資産形成を始める方法を解説します。
一人暮らしで投資は無理?家計が赤字なら始めなくてよい

一人暮らしで投資が難しいと感じるのは、決して珍しいことではありません。家賃、水道光熱費、通信費、食費などを一人で負担するため、実家暮らしや二人暮らしと比べて、収入に対する生活費の割合が高くなりやすいからです。
そのため、「投資をしていない自分は遅れている」と焦る必要はありません。投資は、生活費や近いうちに使う予定のお金ではなく、当面使う予定のない余裕資金で行うものです。
家計が苦しい状態で無理に積み立てを始めても、家電の故障や病気などの出費が発生したときに、投資商品を売却しなければならなくなる可能性があります。価格が下がっている時期に売却すれば、損失が確定することもあります。
まずは、自分が「今は投資しないほうがよい状態」なのか、「少額なら始められる状態」なのかを確認しましょう。
今は投資を始めないほうがよい人
次のような状況に当てはまる場合は、投資よりも家計の立て直しを優先したほうが安心です。
- 毎月の収支が赤字になっている
- 給料日前になると生活費が足りなくなる
- クレジットカードのリボ払いやカードローンを利用している
- 急な出費に対応できる現金がほとんどない
- 数年以内に引っ越し、結婚、車の購入などを予定している
- 投資したお金が少しでも減ると生活に影響する
特に、金利の高い借り入れがある状態では、投資による不確実な利益を狙うより、返済を優先したほうが家計を改善しやすくなります。
投資を始めないことは、資産形成を諦めることではありません。支出を整理し、現金を貯めることも立派な資産形成です。
少額投資を検討できる人
一方、次のような状況であれば、少額から投資を始めることを検討できます。
- 毎月の収支が安定して黒字になっている
- 急な出費に使える預金を確保している
- 近いうちに使う予定のないお金がある
- 投資額が一時的に減っても生活を続けられる
- 短期間で増やすのではなく、長期間続ける予定がある
投資できるかどうかは、年収や手取り額だけでは決まりません。手取りが多くても支出が大きければ余裕はなく、手取りが少なくても支出を管理できていれば、少額を積み立てられる場合があります。
一人暮らしで投資を始める前に確認したい3つのお金

投資に回せる金額を考えるときは、毎月の給料だけを見るのではなく、生活費、予備資金、毎月の黒字額を確認する必要があります。
この3つを整理しないまま積立額を決めると、途中で生活が苦しくなり、積み立てを停止したり、保有商品を売却したりする原因になります。
毎月の最低生活費
最初に確認したいのは、一人暮らしを続けるために最低限必要な金額です。
家賃、水道光熱費、通信費、食費、日用品、交通費、保険料など、毎月必要になる支出を書き出してみましょう。年払いの保険料や税金、家電の買い替え費用なども、月割りして考えると実際の支出に近づきます。
例えば、毎月の手取りが20万円で、生活に必要な支出が18万円なら、単純な残額は2万円です。しかし、その2万円をすべて投資に回してしまうと、病院代や冠婚葬祭などの臨時支出に対応できません。
投資額は、手取りから生活費を引いた残額ではなく、さらに臨時支出や貯金分を差し引いて決めることが大切です。
急な出費に備えるための預金
一人暮らしでは、病気やケガで働けなくなった場合や、冷蔵庫やエアコンが故障した場合も、自分のお金で対応しなければなりません。そのため、投資とは別に、すぐ引き出せる預金を用意しておく必要があります。
必要な金額は、雇用形態、収入の安定性、家賃、頼れる家族の有無などによって異なります。一律に正解があるわけではありません。
貯金がほとんどない場合は、まず最低生活費の1か月分を目指し、その後は3か月分など、自分が安心できる金額まで増やしていく方法があります。
会社員より収入が変動しやすい個人事業主やフリーランスは、より多めの預金を確保しておいたほうが安心です。
毎月安定して残る黒字額
投資額を決めるときは、直近1か月だけでなく、少なくとも数か月分の収支を確認しましょう。
たまたま残業代やボーナスが多かった月を基準にすると、通常月の生活が苦しくなる可能性があります。毎月の黒字額にばらつきがある場合は、最も少なかった月を基準に考えると安全です。
例えば、直近3か月の黒字額が1万円、5,000円、2万円だった場合、いきなり毎月1万円を積み立てるのではなく、月1,000円や3,000円程度から試す方法があります。
一度決めた積立額を守り続ける必要はありません。家賃の更新や収入の変化があれば、減額や一時停止をしても問題ありません。
投資するお金がないときに月1,000円から作る方法

「余裕資金で投資しましょう」と言われても、その余裕資金がないことに悩んでいる方も多いでしょう。
食費や娯楽費を極端に削るよりも、まずは毎月自動的に発生している支出を見直すほうが続けやすくなります。
固定費から見直す
家計を改善するときは、毎日の小さな節約だけでなく、固定費を確認しましょう。
見直しやすい項目には、次のようなものがあります。
- 利用していない動画や音楽のサブスクリプション
- 必要以上に容量が大きいスマートフォンの料金プラン
- ほとんど通っていないスポーツジムや会員サービス
- 補償内容が重複している保険
- 使用頻度の低い有料アプリやクラウドサービス
ただし、通信環境や保険などは、料金の安さだけで決めると不便になることがあります。自分に必要なサービスまで無理に解約する必要はありません。
月1,000円、3,000円、5,000円で考える
投資というと毎月数万円が必要に思えるかもしれませんが、最初から大きな金額を設定する必要はありません。
| 毎月の投資額 | 1年間の投資元本 | 向いている人 |
|---|---|---|
| 1,000円 | 12,000円 | まず投資の仕組みを経験したい人 |
| 3,000円 | 36,000円 | 少額を無理なく習慣化したい人 |
| 5,000円 | 60,000円 | 毎月の黒字額が安定している人 |
| 10,000円 | 120,000円 | 預金と投資を並行できる人 |
月1,000円ではすぐに大きな資産にはなりませんが、口座開設、商品選び、価格変動、積立設定などを経験できます。
少額で自分が値下がりにどのように反応するかを確認してから、家計に余裕が出た段階で増額するほうが、いきなり大きな金額を投資するより続けやすいでしょう。
ボーナスや臨時収入を前提にしない
毎月の積立額は、通常の給料だけで続けられる金額に設定しましょう。ボーナスや残業代を前提にすると、収入が減ったときに積み立てを維持できなくなります。
ボーナスが入った場合も、全額を投資する必要はありません。家電の買い替え、引っ越し、税金など、今後必要になる支出を確保したうえで、残った金額の一部を投資に回す方法があります。
一人暮らしの初心者が検討しやすい投資方法

投資に回せるお金を確保できたら、どのような方法で運用するかを考えます。
投資初心者の場合は、頻繁な売買が必要なく、少額から複数の資産に分散できる方法が検討しやすいでしょう。
NISAを使った積立投資
NISAは、それ自体が投資商品なのではなく、対象となる投資商品から得た利益が非課税になる制度です。
NISAには、つみたて投資枠と成長投資枠があります。一人暮らしで初めて投資をする場合は、長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託が対象となっている、つみたて投資枠から検討しやすいでしょう。
ただし、NISAを利用すれば必ず利益が出るわけではありません。NISA口座で購入した投資信託や株式も、価格が下がれば元本割れする可能性があります。
また、非課税枠をすべて使う必要はありません。年間の上限額は「投資しなければならない金額」ではなく、利用できる上限です。月1,000円や3,000円だけ利用しても問題ありません。
幅広く分散された投資信託
投資信託は、多くの投資家から集めたお金をまとめ、株式や債券などに投資する金融商品です。
1本の投資信託を購入することで、国内外の多くの企業に分散投資できる商品もあります。そのため、複数の個別株を自分で選ぶより、管理の手間を抑えやすい点が特徴です。
商品を選ぶ際は、投資対象だけでなく、購入時の手数料や保有中にかかる信託報酬なども確認しましょう。似た内容の商品でも、手数料が異なることがあります。
なお、株式を中心とした投資信託は、世界中に分散されていても大きく値下がりすることがあります。「分散されているから安全」「長期間持てば必ず増える」とは限りません。
ポイント投資から経験する方法
現金を投資することに強い抵抗がある場合は、買い物などで貯まったポイントを利用できるサービスから経験する方法もあります。
ただし、「ポイント運用」と「ポイント投資」は同じ仕組みとは限りません。ポイントのまま運用するサービスもあれば、証券口座を開設し、ポイントで投資信託などを購入するサービスもあります。
サービスごとに、利用できるポイント、手数料、対象商品、現金化の方法などが異なるため、利用前に確認しましょう。
一人暮らしで投資を始める具体的な手順

投資を始めたいものの、何から取り組めばよいか分からない場合は、次の順番で進めると家計への負担を抑えやすくなります。
手順1:1か月分の支出を記録する
最初に、家賃や通信費だけでなく、コンビニ、外食、ネット通販などを含めた1か月分の支出を確認します。
家計簿を細かく付けることが負担なら、銀行口座やクレジットカードの利用履歴を確認するだけでも構いません。
手順2:毎月の黒字額を確認する
手取り収入から支出を引き、毎月いくら残っているかを確認します。赤字の場合は、投資を始めずに支出の見直しを優先します。
黒字であっても、残った金額をすべて投資に回さず、預金として残す分を決めましょう。
手順3:急な出費に使う預金を用意する
病院代、家電の故障、引っ越しなどに対応できる現金を確保します。このお金は投資口座ではなく、必要なときにすぐ引き出せる預金口座で管理します。
手順4:少額で積立設定をする
生活に影響しない金額を決め、毎月自動的に購入されるよう設定します。
最初は月1,000円などの少額でも構いません。数か月続けて生活が苦しくならないことを確認してから、必要に応じて金額を見直しましょう。
手順5:年に1回程度、家計と積立額を見直す
給料、家賃、生活費、家族構成などが変われば、適切な投資額も変わります。
昇給したからといって必ず積立額を増やす必要はありません。反対に、収入が減った場合や大きな出費を予定している場合は、積立額を減らしたり停止したりして生活を優先しましょう。
積立投資は、途中で金額を変更したり停止したりできます。「一度始めたら続けなければならない」と考える必要はありません。
一人暮らしで避けたい投資の始め方

投資に回せるお金が少ないと、「短期間で一気に増やしたい」と考えてしまうことがあります。しかし、大きな利益を狙える方法ほど、大きく損をする可能性も高くなります。
生活費や借りたお金を投資する
家賃や食費、クレジットカードの支払いに必要なお金を投資してはいけません。
給料日までの生活費を投資に回すと、相場が下がった際にも売却せざるを得なくなります。カードローンなどで借りたお金を投資する方法も避けましょう。
一つの個別株に資金を集中させる
個別株には、企業の成長によって大きく値上がりする可能性がある一方、業績悪化や不祥事などによって大きく下落する可能性もあります。
少ない資金を一つの会社だけに投資すると、その会社の値動きが資産全体に大きく影響します。個別株を購入する場合も、生活に影響しない金額に抑えることが大切です。
レバレッジを利用した短期売買
FXや信用取引などには、預けたお金よりも大きな金額を取引できる仕組みがあります。利益が大きくなる可能性がある反面、損失も大きくなる可能性があります。
生活費に余裕がない状態で、短期間に資産を増やす目的から利用するのは危険です。
SNS上の利益報告だけを信じる
SNSでは、「短期間で資産が何倍になった」「この銘柄は必ず上がる」といった投稿が見つかることがあります。
しかし、投稿された利益が事実であるとは限らず、損失を出した結果が公開されていない場合もあります。特定の商品へ勧誘する目的で、利益を強調している可能性にも注意が必要です。
「必ず儲かる」「元本保証で高い利益が出る」といった説明を受けた場合は、その場でお金を支払わず、運営会社や仕組みを確認しましょう。
一人暮らしの投資に関するよくある疑問

手取りが少なくても投資したほうがよいですか?
手取り額だけで判断する必要はありません。毎月の生活費を支払ったあとにお金が残らない場合は、投資より家計の改善や預金を優先しましょう。
安定して月1,000円程度が残り、そのお金を使う予定がなければ、少額で経験する選択肢はあります。
貯金がゼロでもNISAを始めてよいですか?
貯金がゼロの場合は、NISAより先に急な出費に備える預金を作るほうが安心です。
NISAで購入した商品はいつでも値上がりしているとは限りません。必要なときに価格が下がっていれば、元本割れした状態で売却することになります。
月1,000円の投資では意味がありませんか?
月1,000円だけで短期間に大きな資産を作ることは難しいでしょう。ただし、投資の仕組みや値動きを経験し、積み立てを習慣化するという意味はあります。
家計に余裕が出た段階で、月3,000円、5,000円と増額することもできます。最初から大きな金額を設定する必要はありません。
投資と貯金はどちらを優先すべきですか?
近いうちに使う予定のお金や、急な出費に備えるお金は貯金を優先します。当面使う予定がなく、価格が下がっても生活に影響しないお金については、投資を検討できます。
貯金か投資のどちらか一方を選ぶのではなく、目的によって分けることが大切です。
暴落したときも積み立てを続けるべきですか?
生活費や予備資金に問題がなく、長期的な計画にも変更がない場合は、価格だけを理由に慌てて売買しないという考え方があります。
ただし、収入が減った、生活費が足りない、近いうちにまとまったお金が必要になったなど、家計の状況が変わった場合は、積み立ての減額や停止を優先しましょう。
価格が下がったからといって、無理に追加投資をする必要もありません。
まとめ:一人暮らしで投資が無理なら、まず生活を整えよう
一人暮らしで投資が無理だと感じる場合は、無理に始める必要はありません。毎月の家計が赤字だったり、急な出費に対応できる預金がなかったりするなら、生活を安定させることが先です。
投資を検討できるのは、生活費を支払ったあとに、当面使う予定のないお金が安定して残るようになってからです。
余裕が少ない場合は、月1,000円や3,000円など、生活に影響しない金額から始める方法があります。NISAの非課税枠をすべて使う必要もありません。
大切なのは、周囲の投資額や資産額と比較せず、自分の家計を基準に判断することです。投資額を増やすことよりも、赤字にならず長く生活を続けられる状態を作ることを優先しましょう。
なお、投資には元本割れの可能性があります。商品を選ぶ際は、値動き、手数料、投資対象などを確認し、生活に必要なお金を使わないようにしてください。


