「オルカン(全世界株式)」を運用していると、米国株の比率が高すぎないか、あるいは自分の資産全体における割合をどう調整すべきか悩むことがあります。オルカンの魅力は、市場の変化に合わせて自動で中身が入れ替わる点にありますが、投資家自身が「どれくらいの割合で持ち続けるか」を決めることも重要です。
この記事では、オルカンの内部で行われる割合変更の仕組みから、個人のポートフォリオにおける最適な配分の考え方までを詳しく解説します。資産運用のフェーズに合わせて投資比率を見直したいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。市場の動きに左右されず、自分にとって心地よい運用を続けるためのヒントが見つかるはずです。
オルカンの割合変更が行われる仕組みと投資家が知るべき基本

オルカン(eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー))は、MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックスという指数に連動するように作られています。この指数は、世界中の株式市場の動きを反映しており、中身の割合変更は「時価総額加重平均」というルールに基づいて自動的に行われるのが最大の特徴です。
時価総額加重平均という算出ルール
オルカンの投資割合を決定づけているのが、「時価総額加重平均」という仕組みです。これは、企業の価値(株価 × 発行済株式数)が大きい銘柄ほど、投資信託の中での構成比率を高くするという計算方法です。つまり、時価総額が大きい巨大企業や、勢いのある国の株が自然と多く組み込まれるようになっています。
この仕組みのメリットは、私たちが自分で「どの企業の株をどれくらい買うか」を考えなくても、市場が評価している順番に自動で投資配分が決まることです。成長している企業の割合は増え、衰退している企業の割合は減るため、常に「その時の世界経済の縮図」に投資できることになります。投資家は、個別の銘柄分析に時間を取られることなく、効率的な分散投資を維持できます。
反対に、特定の企業や国が市場を独占するようになれば、オルカンの中身もその影響を強く受けることになります。現在、米国の巨大IT企業が上位を占めているのは、それらの企業の時価総額が圧倒的に大きいためです。このルールを知っておくことで、なぜ特定の国に偏っているのかという疑問が解消され、運用の納得感が高まります。
定期的に行われる銘柄入れ替えの頻度
オルカンが連動を目指す指数(MSCI ACWI)は、年に数回、定期的な見直しが行われます。具体的には、毎年2月、5月、8月、11月の年4回、構成銘柄の入れ替えや比率の調整が行われています。これを「リバランス」や「定期見直し」と呼びます。この際、成長した新しい企業が採用されたり、基準を満たさなくなった企業が除外されたりします。
この定期的な割合変更によって、オルカンは鮮度を保っています。例えば、かつて日本企業が世界を席巻していた時代は、オルカン内での日本株の割合が非常に高い時期もありました。しかし、現在は米国企業の成長に伴い、自動的に米国株の比率が高まっています。このように、時代の変化に合わせて中身をアップデートし続けてくれるのがオルカンの強みです。
投資信託の運用報告書をチェックすると、どのような変更が行われたかの詳細を確認できます。自分自身で売買の指示を出す必要はなく、運用会社が指数の変更に合わせて自動で資産を動かしてくれます。忙しい現代人にとって、この「メンテナンスフリー」な性質は、長期投資を継続するための大きな助けとなります。
国別・地域別の構成比率が変わる理由
オルカンの国別割合が変更される主な理由は、それぞれの国の株価指数の推移に差が出るためです。例えば、米国の株価が絶好調で、他の国の株価が停滞している場合、分母となる全世界の時価総額に対して米国の占める割合が相対的に大きくなります。その結果、オルカンの中での米国比率が上昇するという現象が起こります。
また、新興国の経済成長も割合変更の要因となります。現在は「先進国23カ国+新興国24カ国」が対象となっていますが、新興国の株式市場が拡大すれば、その分だけ新興国株の比率が増えていきます。かつては投資対象でなかった国が、市場の成熟に伴って指数に組み入れられることもあります。これにより、特定の地域に依存しすぎない分散効果が期待できます。
私たちは「今は米国が強いから米国の割合が多い」と現状を捉えがちですが、オルカンはあくまで「市場全体の評価」を鏡のように映し出しているに過ぎません。特定の国の将来を予測して賭けるのではなく、世界全体の成長に乗るというスタンスだからこそ、自然な割合変更を受け入れることが大切です。
指数のリバランスが投資家に与える影響
指数(ベンチマーク)の割合変更が行われる際、運用会社は実際に保有している株式を売買して、指数の構成に近づけます。このプロセスで発生する売買手数料などのコストは、信託報酬(運用コスト)や隠れコストとしてファンド全体で負担することになります。しかし、オルカンのような巨大なファンドは売買規模が大きいため、コスト効率が非常に高いのが特徴です。
投資家にとっての直接的な影響は、ポートフォリオのリスク特性が緩やかに変化することです。例えば、ハイテク株が多い米国の比率が高まれば、ボラティリティ(価格の変動幅)も米国の動向に左右されやすくなります。逆に、様々な国の割合が均衡してくれば、リスクがより分散される方向に働きます。この変化は、自分でコントロールできない部分であると認識しておく必要があります。
重要なのは、オルカン内部での割合変更は「プロによる自動調整」であるということです。私たちが心配しなくても、世界経済の変化に合わせて最適な比率へ導いてくれます。投資家がすべきことは、この自動調整の仕組みを信頼し、一時的な下落や特定の国の偏りを過度に恐れずに積立を継続することに尽きます。
時価総額加重平均のポイント
・市場の価値が高いものほど投資割合を増やす仕組み。
・成長している国や企業を自動的に多く組み込んでくれる。
・自分で銘柄を選ばなくても、時代に合わせた「最適解」を維持できる。
世界の時価総額に連動するオルカン内の国別割合の変遷

オルカンのポートフォリオを詳しく見ていくと、現在は米国が全体の約6割から7割を占めています。この「米国1強」の状態を見て、本当に分散されているのかと不安に思う方もいるかもしれません。しかし、過去の歴史を振り返ると、オルカンの国別割合は時代とともに大きく変化してきたことがわかります。
アメリカ(S&P500銘柄)が占める圧倒的な割合
現在、オルカンの中で米国の割合が非常に高いのは、GAFAM(Google、Apple、Facebook、Amazon、Microsoft)に代表される巨大IT企業の成長が著しいためです。これらの企業は米国だけでなく世界中でビジネスを展開しており、その利益は全世界から集まっています。そのため、米国株への投資は「米国という国」への投資であると同時に、「世界的な巨大プラットフォーム」への投資という側面も持っています。
オルカンを保有するということは、結果的にこれらの米国トップ企業の成長を享受することに繋がります。S&P500(米国株指数)とオルカンの値動きが似ていると言われるのは、この高い構成比率が理由です。米国経済が世界の中心である限り、この割合が大きく下がることは考えにくいですが、それでも「米国だけに100%」とするよりは、他の国への分散が含まれている分、リスクは抑えられています。
ただし、特定の国が6割以上を占める状態は、その国の政治や経済の影響を強く受けることを意味します。税制の変更やドルの為替変動などが、オルカン全体の成績に直結します。この現状を理解した上で、自分は米国にどれくらい依存しても良いのかを考えることが、運用の納得感に繋がります。
日本や新興国の存在感はどう変わったのか
1980年代後半のバブル期には、世界の時価総額に占める日本の割合は4割近くに達していたこともありました。しかし、その後の「失われた30年」を経て、現在のオルカンにおける日本株の割合は5%前後まで低下しています。これは日本株が全く成長しなかったわけではありませんが、米国などの成長スピードに追いつけず、相対的な価値が下がった結果です。
一方で、中国やインド、台湾といった新興国の存在感は徐々に増してきました。特にハイテク産業を支える台湾の半導体企業などは、オルカンの中でも重要な位置を占めるようになっています。新興国株は先進国株に比べて値動きが激しいものの、将来的な成長余力が大きいため、ポートフォリオのアクセントとして機能しています。
このように、オルカンの割合変更を追いかけると、世界経済の主役がどのように交代してきたかが見えてきます。日本株の割合が減ったことを悲観するのではなく、その時々で最も勢いのある地域へ自動的に資金が配分される仕組みの合理性を評価すべきでしょう。
過去のデータから見る地域別割合の変遷
以下の表は、世界の株式市場における地域別構成比率のイメージをまとめたものです。時代によって主役が入れ替わっていることがわかります。
| 年代 | アメリカ | 日本 | 欧州・その他 | 新興国 |
|---|---|---|---|---|
| 1980年代末 | 約30% | 約40% | 約30% | ほぼ0% |
| 2000年代前半 | 約50% | 約10% | 約35% | 約5% |
| 現在(2020年代) | 約60%超 | 約5% | 約25% | 約10% |
このデータからわかる通り、数十年単位で見ると特定の国が永遠に支配し続ける保証はありません。かつての日本がそうであったように、今後、米国以外の国が台頭してくる可能性も十分にあります。オルカンを持っていれば、そのような予測困難な主役交代にも自動で対応できるのが最大のメリットです。
投資家が自力で「次はどの国が伸びるか」を当てるのは至難の業です。しかし、オルカンというパッケージを選択することで、どの国が伸びてもその果実を得られるような状態を作っておけます。この安心感こそが、長期保有を支える土台となります。
特定の国に偏ることのリスクとメリット
特定の国(現在は米国)の割合が高いことには、メリットとデメリットの両面があります。メリットは、世界で最も効率的に利益を生み出している市場の成長をダイレクトに取り込める点です。米国の法整備や株主還元姿勢は世界トップクラスであり、投資先としての魅力が高いのは事実です。オルカンを通じて、その恩恵を最大限に受けることができます。
一方でリスクとしては、その国の「一蓮托生」状態になることが挙げられます。もし米国で深刻な経済危機が起きたり、ドルの信認が揺らいだりした場合、オルカンも大きなダメージを免れません。分散投資の基本は「卵を一つのカゴに盛るな」ですが、現状のオルカンは「米国のカゴが非常に大きい状態」であることは否定できません。
このリスクをどう捉えるかは人それぞれです。「米国がダメになる時は世界中がダメになるから同じだ」と考える人もいれば、「もう少し米国以外にも分散したい」と考える人もいます。自分の考えに合わせて、オルカン以外の資産を組み合わせるなどの補完的な戦略を検討するのも一つの手です。
自分の資産におけるオルカンの割合を変更すべき基準

オルカンの「中身」の割合変更は自動で行われますが、自分の総資産のうち「どの程度をオルカンに割り当てるか」という割合変更は自分自身で行う必要があります。これは「アセットアロケーション(資産配分)」と呼ばれる非常に重要なプロセスです。ここでは、どのような基準でその割合を見直すべきかを解説します。
資産全体に対するオルカンの理想的な配分
資産全体におけるオルカンの割合を決める際、最も考慮すべきは「現金(安全資産)」とのバランスです。投資の鉄則は、まずは生活防衛資金を確保し、その上で余剰資金を運用に回すことです。どれほどオルカンが優れた商品であっても、全財産を突っ込むのはリスクが高すぎます。市場の暴落時に耐えられるだけの現金を確保しておく必要があります。
一般的な目安としては、「年齢や家族構成に応じた現金比率」を定めた上で、残りの投資可能資金のうち50%〜80%程度をオルカンにするという考え方があります。オルカンはこれ一つで世界中に分散されているため、投資部分のメイン(コア資産)に据えるのに適しています。残りの部分は、よりリスクの高い個別株や、逆にリスクの低い債券などに振り分けるのが一般的です。
もし、最近の株高でオルカンの評価額が上がり、資産全体に占める割合が予定より高くなりすぎているなら、それは見直しのサインかもしれません。これを「リバランス」と呼び、増えすぎた分を売却して現金を確保したり、別の資産を買ったりすることで、元の目標割合に戻します。これにより、無意識のうちにリスクを取りすぎるのを防ぐことができます。
リスク許容度の変化に応じた見直しタイミング
リスク許容度とは、「資産がどれくらい値下がりしても生活やメンタルに支障が出ないか」という度合いのことです。この許容度は、年収の増減や家族の状況、あるいは自身の投資経験によって変化します。初めて投資をする時期と、数年間の暴落を経験した後では、自分の耐性が変わっていることに気づくはずです。
例えば、結婚して子供が生まれた場合、将来の教育資金を確保するために、リスクの高い株式(オルカン)の割合を下げ、より安定した資産の割合を増やす変更が必要になるかもしれません。逆に、昇進して収入が増え、当面使う予定のない資金が増えたのであれば、オルカンの積立額を増やして資産形成のスピードを上げる判断もあり得ます。
リスク許容度の見直しは、「年に一度の健康診断」のような感覚で行うのが理想的です。特に大きなライフイベントがない場合でも、自分の心境の変化を確認しましょう。夜も眠れないほど相場が気になるのであれば、オルカンの保有割合が高すぎます。逆に、価格変動を全く気にせず放置できているなら、適切な範囲内と言えるでしょう。
年齢やライフステージに合わせた比率の調整
投資期間が長く取れる若い世代は、複利の力を最大化するためにオルカンの割合を高く設定しても良いでしょう。一時的な暴落があっても、回復するまでの時間を十分に確保できるからです。100から年齢を引いた数字を株式比率にするという古い格言もありますが、現代ではもう少し柔軟に考えても良いかもしれません。
一方で、定年退職が近づいている世代は、オルカンの割合を段階的に下げていく変更を検討すべきです。資産を取り崩す時期に大きな暴落が来ると、老後資金の計画が大きく狂ってしまうからです。株式100%の運用から、債券や預金の比率を50%程度まで引き上げるなど、「増やす運用」から「守る運用」へのシフトが求められます。
ただし、退職後も全ての資産を現金にする必要はありません。人生100年時代、老後も数十年続くため、一部は運用を続けることでインフレ(物価上昇)対策になります。年齢とともに「一気に変える」のではなく、「数年かけて徐々に割合をシフトさせる」のが、心理的な負担も少なくスムーズな移行となります。
利益確定や損切りを検討すべき状況
オルカンは長期保有が基本ですが、場合によっては売却して割合を変更することも検討します。例えば、目標としていた資産額に到達した時です。「マイホームの頭金にしたい」「世界一周旅行に行きたい」といった具体的な目標があるなら、そのタイミングで必要額をオルカンから引き出すのは正しい判断です。投資は目的ではなく、人生を豊かにするための手段だからです。
一方、損切り(値下がりした状態で売ること)については、オルカンの場合は慎重になるべきです。個別株と違い、世界経済全体がゼロになることは考えにくいため、一時的な下落は回復を待つのが定石です。ただし、自分の当初の投資目的が変わってしまった場合や、どうしても生活費が足りなくなった場合は、迷わず売却して現金を優先しましょう。
相場の過熱感を感じた時に、一部を利益確定して現金比率を高める戦略も有効です。これは「割合を意図的に下げる」ことで、次の暴落時に安く買い増すための資金を作る行為です。ただし、相場の頂点を当てるのはプロでも難しいため、「ルールに基づいた機械的な調整」を心がけることが、感情に振り回されないコツです。
自分自身の資産配分を見直す時は、「なぜその割合にしたいのか」をメモに残しておきましょう。暴落時にパニックになって売ってしまうのを防ぐ「自分への手紙」になります。
オルカンに他の商品を組み合わせて投資割合を微調整する戦略

オルカンは非常に優れた商品ですが、万能ではありません。人によっては「もっと米国を強くしたい」「日本株にも期待したい」「もっと安定させたい」といった希望があるでしょう。オルカンを軸にしつつ、他の商品をトッピングすることで、自分好みの投資割合に変更する手法をご紹介します。
特定の国(日本や米国)を厚くしたい場合のトッピング
オルカンは世界全体の時価総額に合わせて配分が決まるため、特定の国の割合が自分の希望より低いと感じることがあります。例えば「米国企業のイノベーションを信じているから、もっと米国比率を上げたい」と考えるなら、オルカンに加えて「S&P500」や「NASDAQ100」の投資信託を買い増すことで、米国への集中度を高められます。
逆に、「日本に住んでいるので、身近な日本企業の成長をもっと応援したい」という場合は、オルカンとは別に「TOPIX(東証株価指数)」連動型のファンドを組み合わせるのが一般的です。これにより、全世界の分散を保ちつつ、自分の好みに応じて特定地域のウェイトを上げることができます。これを「コア・サテライト戦略」の一部として活用する投資家も多いです。
ただし、あまりに多くのファンドを組み合わせすぎると、全体の割合が把握しづらくなるというデメリットがあります。自分の資産のうち、オルカンが何%、追加した米国株が何%という計算を常に行う必要が出てくるため、管理が煩雑にならない範囲(2〜3個程度)に留めるのが賢明です。
債券やゴールドを組み合わせて守りを固める
オルカンは「100%株式」の投資信託です。株式は上昇時の期待リターンが大きい反面、下落時の振り幅も大きくなります。このボラティリティを和らげるために、株式とは異なる動きをする資産を組み合わせる変更が有効です。その代表例が「債券」や「ゴールド(金)」です。
債券は株式が暴落する局面で売られにくく、安定した利息収入が得られる資産です。オルカン8割、債券2割といった具合に混ぜることで、ポートフォリオ全体の「クッション」のような役割を果たします。また、ゴールドは「有事の金」と言われるように、インフレや地政学リスクに強い特性があります。これらを少額混ぜるだけで、資産全体の減り方をマイルドにすることが可能です。
こうした調整は、特に運用資産が大きくなってきた段階で効果を発揮します。100万円の10%下落(10万円)は耐えられても、3000万円の10%下落(300万円)は精神的にこたえるものです。資産額の増加に合わせて、オルカン一本槍から、守りの資産を混ぜたバランス重視の割合へ変更していくのは、賢い大人の運用術と言えます。
高配当株や成長株投信と併用する際の注意点
資産形成の効率を求めるだけでなく、「配当金という現金収入が欲しい」というニーズもあります。その場合、オルカンを保有しつつ、別途「全世界高配当株式」や「米国高配当ETF」を組み合わせることになります。これにより、資産の成長(キャピタルゲイン)を狙いつつ、定期的なお小遣い(インカムゲイン)を受け取れる割合に変更できます。
しかし、ここで注意が必要なのは、保有銘柄の重複です。高配当株ファンドの中身も、多くはオルカンに含まれている銘柄です。特定の銘柄(例えばジョンソン・エンド・ジョンソンなど)を、オルカン経由と高配当株ファンド経由で二重に持つことになります。これが必ずしも悪いわけではありませんが、「意図せず特定の銘柄への集中投資になっている」という事実は認識しておきましょう。
また、成長株(グロース株)を増やすためにNASDAQ100などを組み合わせる場合も同様です。暴落時には成長株ほど大きく下がる傾向があるため、オルカンの分散効果が薄れてしまうリスクがあります。トッピングをする際は、あらかじめ「自分のリスクを増やすための変更なのか、減らすための変更なのか」を明確にしておくことが大切です。
複数の投資信託を持つ場合の管理のコツ
複数の商品を組み合わせて割合を変更すると、資産管理アプリ(マネーフォワードなど)を活用しても、国別の本当の比率が見えにくくなることがあります。そんな時は、ExcelやGoogleスプレッドシートを使って、簡易的なポートフォリオ管理表を作っておくと便利です。月に一度、各ファンドの評価額を入力するだけで、資産全体における比率が可視化されます。
管理を楽にするための一つのアイデアは、「メインの証券口座はオルカン専用」にし、「トッピング用は別の証券口座」にするという使い分けです。こうすることで、長期でじっくり育てる資産と、自分の好みで調整する資産を頭の中で切り分けやすくなります。証券会社ごとに役割を与えることで、無用な売買を防ぐ心理的な効果も期待できます。
最終的には、複雑になりすぎないことが長期投資を続ける秘訣です。オルカンだけでも十分に完成された商品であることを忘れず、追加する商品はあくまで「自分へのスパイス」程度に留めるのがコツです。管理に疲れて投資を辞めてしまっては本末転倒ですので、自分が楽に続けられる仕組み作りを優先しましょう。
トッピング戦略のまとめ
・米国や日本を強調したいなら、インデックスファンドを追加して比率を調整する。
・値動きを抑えたいなら、債券やゴールドを組み合わせて守りを強化する。
・組み合わせる数は最小限にし、全体の割合が見えなくなるのを防ぐ。
新NISAでの運用で意識したいオルカンの割合変更

2024年から始まった新NISA制度により、オルカンはさらに使い勝手の良い商品となりました。非課税保有期間が無期限になったことで、これまでの制度以上に「生涯を通じた割合の管理」が重要になります。新NISAの枠の中で、オルカンの割合をどう変更し、付き合っていくべきかを考えます。
つみたて投資枠と成長投資枠の使い分け
新NISAには「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の2種類がありますが、どちらの枠でもオルカンを購入することが可能です。一つの戦略として、両方の枠をオルカンで埋めてしまう「オルカン全振り」があります。これは究極のシンプル戦略であり、最も手間がかからず、かつ合理的な期待リターンを得られる可能性が高い方法です。
一方で、成長投資枠を使って他の資産を組み合わせ、全体の割合を微調整する柔軟性も持っておきたいところです。例えば、つみたて投資枠は毎月の「給与からの天引き感覚」でオルカンを淡々と買い続け、成長投資枠は「ボーナス時や暴落時にスポットで購入する」といった使い分けです。これにより、時間分散とタイミング投資を組み合わせた割合変更が可能になります。
もし将来的に、株式以外の資産を持ちたくなった場合、成長投資枠の一部を売却して現金化し、特定口座(課税口座)で債券などを買うといった戦略も考えられます。NISA枠の中を株式(オルカン)で最大化し、枠の外でリスクを調整するという考え方は、非課税メリットを最大限に享受するための王道と言えます。
非課税枠の再利用を考慮した売買の考え方
新NISAの大きな特徴は、商品を売却すると翌年以降に「非課税枠が再利用できる」点にあります。これまでの旧NISAでは売ったら枠は消滅していましたが、新制度では機動的な割合変更がしやすくなりました。例えば、資産全体でオルカンの割合が増えすぎてリバランスが必要になった際、NISA枠内のオルカンを一部売却しても、その枠は将来また別の投資に使えるのです。
もちろん、頻繁な売買は複利効果を妨げるため推奨されませんが、「ライフスタイルの変化に合わせて出口戦略を描ける」ようになったメリットは計り知れません。数十年後に現金を確保するために一部を解約しても、また余裕ができたら非課税で買い直せるという安心感は、長期投資における心の余裕に繋がります。
ただし、売却した翌年にならないと枠が戻らない点は注意が必要です。年間の投資枠(360万円)という上限もあるため、大きな割合変更を一度に行おうとすると、再投資に数年かかる場合もあります。計画的な売買を心がけることが、新NISAを賢く使いこなすポイントです。
長期保有を前提とした場合のメンタル維持
新NISAでオルカンを運用する最大の敵は、暴落時のパニック売りです。非課税期間が無期限だからこそ、20年、30年というスパンで考えなければなりません。その間には必ずと言っていいほど、資産が30%〜50%減少するような「○○ショック」が訪れます。その際、オルカン内の割合変更(米国の比率低下など)を見て不安になり、投げ売りしてしまう投資家が後を絶ちません。
メンタルを維持するためには、あらかじめ「最悪のシナリオ」を想定しておくことが大切です。「1000万円が500万円になっても、世界経済が続く限り保有し続ける」という覚悟が必要です。また、SNSなどで他人の運用実績と比較しすぎないことも重要です。自分にとってのゴール(目標金額や時期)を見失わなければ、一時的な割合の変動に一喜一憂することはなくなります。
投資は「長く市場に居続けること」が成功の秘訣です。オルカンの自動リバランス機能に任せ、自分は淡々と積み立てを続ける。時には残高を確認しないくらいの「ズボラさ」が、結果として良い成績をもたらすことも多いのです。新NISAという素晴らしい箱を活かすのは、投資家自身の揺るぎない継続の意思です。
制度の変更に合わせた柔軟な戦略の立て方
今後、国の制度が変わる可能性もゼロではありません。非課税枠の拡大や、逆に増税など、私たちがコントロールできない変化が起きるかもしれません。そのような変化に対しても、オルカンは強い味方になります。どのような制度改正があっても、「世界全体に分散投資している」という事実は、最も中立的で柔軟なポジションだからです。
特定の国や制度に過度に依存した投資戦略は、その前提が崩れた時にもろくなります。オルカンを中心に据えるということは、特定の国策に左右されにくい「世界標準の投資」を行っていることと同義です。制度が変わっても慌てず、自分の資産全体におけるオルカンの割合が適切かどうかを再点検するだけで、大半の事態には対処できます。
投資の戦略を立てる際は、「複雑な手法」よりも「環境が変わっても続けられる手法」を選びましょう。オルカンの割合をベースに、新NISAの枠をフル活用する。このシンプルな構造こそが、将来の不確実性に対する最強の防御策となります。
まとめ:オルカンの割合変更を理解して最適な運用を続けよう
オルカンの割合変更には、商品内部で行われる「時価総額加重平均による自動調整」と、投資家自身が行う「ポートフォリオの比率調整」の2つの側面があります。この仕組みを理解しておくことで、市場がどのような状況になっても、冷静に判断を下せるようになります。
ファンド内では、世界経済の変化に合わせて、米国、日本、欧州、新興国といった各地域の割合が常にアップデートされています。私たちはプロが管理するこの仕組みに身を任せるだけで、時代遅れの銘柄を持ち続けるリスクを回避できます。米国が強い現在は米国比率が高くなりますが、将来別の国が台頭すれば、それも自然に取り込んでくれるでしょう。
一方で、自分自身の資産全体におけるオルカンの割合は、年齢やリスク許容度、ライフステージに合わせて定期的に見直すことが大切です。特に新NISA制度を賢く利用し、必要に応じてリバランスを行いながら、長く運用を継続することが資産形成の近道です。自分にとって心地よいバランスを見つけ、オルカンと共に着実な資産運用を歩んでいきましょう。


