資産運用をこれから始める方や、すでに取り組んでいる方にとって、毎月の投資でポイントが貯まる「クレカ積立」は外せない選択肢です。投資信託をクレジットカードで決済するだけで、購入額に応じたポイントが還元されるため、普通に購入するよりも確実にお得になります。
しかし、最近では各証券会社やカード会社でポイント付与のルール変更が相次いでおり、「結局どこが一番お得なの?」と迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。ポイント還元率の数字だけを見て選ぶと、年会費や付与条件などで思わぬ落とし穴にはまることもあります。
この記事では、主要な証券会社のクレカ積立におけるポイント還元率を徹底的に比較し、あなたのライフスタイルに最適な組み合わせを分かりやすく解説します。新NISA制度を最大限に活用し、効率よくポイントを貯めながら資産を増やすためのヒントを見つけてください。
クレカ積立のポイント還元率を比較して知る運用のメリット

クレカ積立とは、投資信託の購入代金をクレジットカードで支払う仕組みのことです。通常、投資信託の購入には現金が必要ですが、カード決済にすることでショッピングと同じようにポイントが付与されます。この還元率の違いが、長期的な資産形成において大きな差を生むことになります。
毎月の積み立てが実質的な割引になる仕組み
投資信託を購入する際、本来であれば1万円分の商品を買うには1万円の現金が必要です。しかし、ポイント還元率が1.0%のクレジットカードで積み立てを行うと、1万円の投資に対して100円分のポイントが戻ってきます。これは実質的に、投資信託を1%安く購入できているのと同じ状態といえます。
資産運用の世界では、年利数パーセントの利益を出すためにリスクを取って運用を行いますが、クレカ積立のポイントは投資の成否に関わらず確実に得られる利益です。運用益に加えてポイントが貯まることで、トータルの収益性を底上げできるのが最大の魅力といえるでしょう。
特に長期投資を前提とする場合、このわずかな還元率の差が複利のような効果を生みます。毎月上限まで積み立てを継続すれば、数年後には数万円から十数万円分のポイント差になることもあるため、最初のカード選びが非常に重要です。
2024年の上限額引き上げによる還元率の変化
2024年3月、クレカ積立の月間上限額が従来の5万円から10万円へと引き上げられました。これにより、新NISAの「つみたて投資枠」の月間上限10万円をすべてクレジットカードで決済することが可能になり、より多くのポイントを貯められる環境が整いました。
ただし、上限額の引き上げに伴い、各社はポイント還元率のルールを見直しています。これまで一律で高還元だったものが、年間のカード利用額に応じて還元率が変動する仕組みに変わるなど、条件が複雑化している傾向があります。そのため、単純な最大還元率だけでなく「自分にとって現実的な条件か」を見極める必要があります。
例えば、年会費がかかるゴールドカードやプラチナカードの場合、ポイント還元で年会費を相殺できるかどうかの計算も欠かせません。10万円フルで積み立てる場合と、少額で積み立てる場合では、最適なカードが変わってくる点に注意しましょう。
貯まったポイントを再投資に回せる利便性
クレカ積立で貯まるポイントは、そのまま普段の買い物に使うこともできますが、多くのネット証券では「ポイント投資」に対応しています。貯まったポイントを使ってさらに投資信託を買い増すことで、雪だるま式に資産を増やしていくことが可能です。
ポイントで投資を行う最大のメリットは、心理的なハードルが低いことです。自分のお財布から出す現金ではなく、おまけでもらったポイントであれば、少しリスクのある商品にも挑戦しやすくなります。このように、還元されたポイントを有効活用できるかどうかも、比較の際の重要なポイントです。
代表的なものとして、楽天証券であれば楽天ポイント、SBI証券であればVポイントやPontaポイントなどが挙げられます。自分が普段から貯めているポイントや、生活圏で使いやすいポイントの種類を確認しておくことで、運用のモチベーション維持にもつながるはずです。
主要ネット証券のクレカ積立ポイント還元率を一覧比較

ここからは、多くの投資家に利用されている主要なネット証券と、それぞれに対応するクレジットカードのポイント還元率を具体的に見ていきましょう。各社、カードのランクや利用条件によって還元率が大きく異なるため、自分の状況に当てはめて考えることが大切です。
| 証券会社 | 対応カード例 | ポイント還元率 | 備考 |
|---|---|---|---|
| SBI証券 | 三井住友カード(NL)等 | 0.0% 〜 3.0% | カードランクや年間利用額で変動 |
| 楽天証券 | 楽天カード | 0.5% 〜 1.0% | カードランクにより固定 |
| マネックス証券 | マネックスカード | 最大 1.1% | 還元率の高さが魅力 |
| auカブコム証券 | au PAY カード | 1.0% | auユーザー以外も利用可能 |
| 松井証券 | 松井証券カード | 0.5% | 保有残高還元に強み |
SBI証券と三井住友カードの組み合わせ
SBI証券は、三井住友カードをはじめとする複数のカードでクレカ積立が可能です。以前は一律で高い還元率を誇っていましたが、現在は年間ショッピング利用額に応じたステージ制へと移行しています。一般カードの場合、年間のカード利用がないと還元率が0%になるケースもあります。
特に人気が高いのは「三井住友カード ゴールド(NL)」です。このカードは年間100万円以上の利用を一度でも達成すると、翌年以降の年会費が永年無料になる特典があります。この条件をクリアしつつ、クレカ積立を継続することで、バランスの良いポイント還元を受けることができます。
最上位のプラチナプリファードは、最大3.0%という驚異的な還元率を誇りますが、高い年会費がかかるため注意が必要です。月10万円のフル積立を行い、さらに日常の支払いもこのカードに集約できる方であれば、最も多くのポイントを獲得できる可能性があります。
楽天証券と楽天カードの安定したポイント還元
楽天証券は、楽天カードでの積立により楽天ポイントが貯まります。還元率は、ノーマルカードで0.5%、ゴールドカードで0.75%、プレミアムカードで1.0%となっています。SBI証券のような複雑な利用条件はなく、持っているカードの種類だけで還元率が決まるシンプルさが魅力です。
また、楽天証券には「楽天キャッシュ決済」という独自の仕組みもあります。楽天カードから電子マネーの楽天キャッシュにチャージし、そこから積み立てを行う方法です。これらを併用することで、月間最大15万円までのキャッシュレス積立が可能になり、より効率的にポイントを貯めることができます。
楽天ポイントは利用できる店舗が非常に多く、ポイント投資への連携もスムーズです。楽天経済圏を普段から利用している方にとっては、管理の手間が少なく、最もストレスなく続けられる選択肢と言えるでしょう。初心者の方でも迷わず始められるのが大きな強みです。
マネックス証券とauカブコム証券の高還元カード
マネックス証券は、マネックスカードでの積立で最大1.1%の還元を受けることができます。これは年会費実質無料のカードとしては、業界トップクラスの還元率です。とにかくポイント還元率の高さを重視したい方にとって、非常に有力な候補となります。
一方、auカブコム証券はau PAY カードでの積立で1.0%の還元があります。auやUQ mobileのユーザーであれば、通信料金とのセット割やキャンペーンなどでさらにお得になる場面もありますが、それ以外のユーザーでも1.0%という高い還元率を享受できるのはメリットです。
これらの証券会社は、SBIや楽天に比べるとシェアは劣りますが、その分ポイント還元率などのスペックで勝負している側面があります。特定の携帯キャリアを利用している場合や、複数の口座を使い分けてポイントを最大化したい場合には、ぜひ検討したい選択肢です。
SBI証券は「カードの利用額」が鍵となり、楽天証券は「カードのランク」で決まります。マネックス証券やauカブコム証券は「一律で高め」の設定です。自分の普段の買い物金額に合わせて選ぶのが賢明です。
還元率だけで選ばない!比較すべき追加のポイント還元項目

クレカ積立の比較において、購入時のポイント還元率(フローのポイント)と同じくらい重要なのが、投資信託を保有しているだけで貯まるポイント(ストックのポイント)です。また、カードの維持コストである年会費も、トータルの利益に大きく影響します。
投資信託の保有残高に応じて貯まるポイント
多くのネット証券では、預けている投資信託の残高に応じて毎月ポイントが付与されるサービスを提供しています。これは「投信保有ポイント」や「資産形成ポイント」と呼ばれ、一度設定してしまえば保有し続ける限り自動的に貯まり続けます。
例えば、SBI証券の「投信マイレージ」や松井証券の「ポイント還元」は、他社と比較しても還元率が高いことで知られています。保有残高が増えてくると、毎月のクレカ積立で得られるポイントよりも、保有ポイントの方が多くなる逆転現象が起こります。
10年、20年といった長期スパンで投資を続ける場合、この保有ポイントの差がトータルリターンに数十万円単位の影響を与えることも珍しくありません。クレカ積立の還元率が少し低くても、保有ポイントが充実している証券会社を選ぶのは、長期投資家にとって合理的な判断です。
クレジットカードの年会費と実質的なコスト
ポイント還元率が高いカードの多くは、数千円から数万円の年会費がかかります。高い還元率に惹かれて高ランクのカードを作っても、獲得ポイントよりも年会費の方が高くなってしまっては本末転倒です。必ず「年会費を引いた後の実質利益」で比較しましょう。
例えば、年会費33,000円のプラチナカードで還元率3.0%の場合、年間120万円の積み立てで36,000円分のポイントが得られます。一見お得に見えますが、実質的な利益は3,000円程度です。一方、年会費無料のカードで1.0%還元なら、12,000円分がそのまま利益になります。
ただし、ゴールドカードなどで「年間◯◯万円以上の利用で次年度以降無料」という条件がある場合、そのハードルをクリアできるなら話は別です。自分の年間の決済額を予測し、無理なく条件を達成できるカードを選ぶことが、賢い資産運用の第一歩となります。
家族カードや付帯サービスの活用度
クレジットカードは積立専用ではなく、日常の支払いにも使うものです。そのため、家族カードの発行手数料や、旅行傷害保険、空港ラウンジの利用可否といった付帯サービスも、カードの価値を決める要素になります。
もし家族でポイントを共有したいなら、家族カードでも本会員と同様の還元が受けられるカードが便利です。また、特定のコンビニや飲食店で還元率がアップするカードを選べば、積立以外でも効率よくポイントを貯めることができます。
資産運用は生活の一部です。投資のためだけに新しいカードを作るのが面倒な場合は、今持っているカードやメインで使っている銀行口座と相性の良い証券会社を選ぶことで、管理の負担を減らしつつ着実にポイントを積み上げることができます。
ポイント還元の全体像を把握するためのチェックリスト:
・積立時の還元率は何%か?
・投資信託の保有ポイントはあるか?
・カードの年会費はいくらか(条件付き無料はあるか)?
・貯まるポイントは普段の生活で使いやすいか?
自分にぴったりのクレカ積立を見つけるための選び方ガイド

各社の特徴を理解したところで、次は「あなたにとってどの組み合わせがベストか」を判断するための基準をご紹介します。投資経験や普段利用しているサービスによって、選ぶべき最適解は人それぞれ異なります。
メインで使っているスマートフォンや通信キャリアで選ぶ
現代のポイント経済圏において、通信キャリアと証券会社、クレジットカードの連携は非常に強力です。もしあなたがauユーザーならauカブコム証券、ソフトバンクやワイモバイルユーザーならPayPay証券(PayPayカードでの積立)を検討する価値があります。
通信料金の支払いと積立を同じカードにまとめることで、ポイントが分散せず、管理も非常に楽になります。また、キャリア限定のポイントアップキャンペーンが頻繁に行われるため、カタログスペック以上の還元を受けられる機会が多いのもメリットです。
逆に、格安SIMなどを利用していて特定のキャリアにこだわりがない場合は、SBI証券や楽天証券のような汎用性の高いネット証券を選ぶのが無難です。将来的にキャリアを変更しても、ポイントの使い道に困ることが少ないからです。
年間のショッピング利用額でカードランクを決める
SBI証券のように「年間のカード利用額」がクレカ積立の還元率に直結する場合、自分が年間でいくらカードを使うかを把握することが不可欠です。家賃や公共料金、日々の食費などをすべて集約した場合の合計金額を算出してみましょう。
もし年間100万円以上の利用が見込めるなら、三井住友カード ゴールド(NL)が非常に強力な選択肢になります。いわゆる「100万円修行」を終えれば、年会費無料で高い還元率を維持できるからです。しかし、年間利用額が30万円程度であれば、利用額に関わらず還元がある楽天カードやマネックスカードの方がお得になる可能性が高いです。
無理をして高ランクのカードを作るために無駄な買い物を増やしては、本末転倒です。あくまで自分の自然な支出の範囲内で、最も恩恵を受けられるカードを選ぶことが、健全な家計管理と資産運用の両立につながります。
新NISAでの運用方針に合わせて選ぶ
新NISAで「つみたて投資枠」をメインに使うのか、それとも「成長投資枠」も併用するのかによっても、最適な証券会社は変わります。クレカ積立は主に「つみたて投資枠」で活用されますが、証券会社によって取り扱っている商品のラインナップが微妙に異なります。
例えば、業界最低水準の信託報酬(運用コスト)を目指す「eMAXIS Slimシリーズ」は主要なネット証券ならどこでも購入できますが、特定の証券会社でしか買えない低コストファンドも存在します。投資したい特定の銘柄が決まっている場合は、その銘柄がクレカ積立の対象になっているかを先に確認しましょう。
また、月10万円の上限いっぱいまで積み立てるのか、月1万円からコツコツ始めるのかによっても、還元率のインパクトは変わります。少額投資の場合は、還元率よりも「ポイントが1ポイントから無駄なく使えるか」といった利便性を優先する方が、長期的に見て満足度が高くなるはずです。
クレカ積立を始めるステップと注意すべき設定のポイント

自分に合う証券会社とカードが決まったら、いよいよ設定です。クレカ積立は一度設定してしまえば自動的に継続されますが、最初の設定時や変更時にはいくつか注意すべき点があります。スムーズに運用を開始するための手順を確認しましょう。
証券口座開設から積立開始までの流れ
まずは、選んだ証券会社の口座開設を行います。最近はスマートフォンからマイナンバーカードを読み取るだけで、最短即日で開設できるケースが増えています。口座開設の申し込みと同時に、対応するクレジットカードの作成も進めておくと効率的です。
カードが手元に届いたら、証券会社のマイページから「クレジットカード登録」を行います。その後、積み立てたい投資信託を選び、決済方法としてクレジットカードを選択します。このとき、毎月の積立額と、新NISA枠(つみたて投資枠など)の指定を忘れないようにしてください。
注意したいのは、設定した当月からすぐに買い付けが始まるわけではないという点です。各社には「締切日」があり、例えば「毎月10日までに設定すれば翌月1日から買付開始」といったルールがあります。余裕を持って手続きを進めることが大切です。
ポイント還元対象外の商品や条件を確認する
すべての投資信託がクレカ積立のポイント還元対象になっているとは限りません。一部の証券会社では、信託報酬(管理費用)が極めて低い商品に対して、ポイント還元率を低く設定したり、対象外としたりする場合があります。
また、クレジットカードの利用代金を遅延なく支払っていることも当然の条件です。引き落とし口座の残高不足でカード決済ができなかった場合、その月の積立は行われず、もちろんポイントも付与されません。資産運用のリズムを崩さないよう、口座管理には気を配りましょう。
さらに、法人口座やジュニアNISA(現在は新規利用不可)など、口座の種類によってはクレカ積立自体が利用できないこともあります。主に個人の総合口座や新NISA口座が対象となりますので、自身の口座タイプを確認してから設定を行いましょう。
還元率のルール変更に柔軟に対応するコツ
クレカ積立のポイント還元率は、今後も各社の競争や市場環境の変化によって変更される可能性があります。実際、2024年の上限額引き上げに伴い、多くの証券会社が還元条件をアップデートしました。一度設定して終わりではなく、年に一度は条件の見直しを行うのが賢明です。
もし他社の還元率が圧倒的に良くなった場合、証券口座の「乗り換え」を検討したくなるかもしれません。しかし、新NISA口座の変更は年に一度しかできず、手続きも少々煩雑です。目先の0.1%程度の差であれば、手間を考えてそのまま継続するのも一つの選択肢です。
一方で、ポイントの付与が完全になくなるような大幅な改悪があった場合には、速やかに動けるよう準備しておきましょう。情報のアンテナを張っておくことは大切ですが、あまり細かい数字に一喜一憂しすぎず、ゆったりとした気持ちで長期的な資産形成に取り組むのが成功の秘訣です。
クレカ積立の設定は「一度やれば終わり」の仕組みですが、カードの有効期限更新時や、住所変更時などは再設定が必要になる場合があります。証券会社からの通知メールは定期的にチェックするようにしましょう。
クレカ積立のポイント還元率比較まとめ
クレカ積立のポイント還元率について比較・解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。最後に、重要なポイントを振り返ります。
まず、クレカ積立の最大のメリットは、投資の利益とは別に「確実にポイントというリターンが得られる」点にあります。2024年からの新NISA上限額引き上げにより、月10万円までの積み立てがポイント還元の対象となったことで、その恩恵はさらに大きくなりました。
主要な組み合わせを比較すると、現状では以下の傾向が見えてきます。
・SBI証券×三井住友カード:年間利用額が多い人、プラチナカードを使いこなせる人向け
・楽天証券×楽天カード:楽天経済圏を活用している人、シンプルな仕組みを好む人向け
・マネックス証券×マネックスカード:年会費を抑えつつ、一律で高い還元率を求める人向け
・auカブコム証券×au PAY カード:au/UQ mobileユーザーや、1.0%還元を重視する人向け
選ぶ際のポイントは、表面上の還元率だけでなく、「年会費を含めた実質的な収支」や「投資信託の保有ポイント」まで含めてトータルで判断することです。また、貯まったポイントを投資に回せるか、普段の生活で消費しやすいかという出口戦略も欠かせません。
資産運用は長く続けることが何よりも大切です。自分にとって最もストレスが少なく、楽しみながらポイントを貯められる環境を整えて、賢く資産を増やしていきましょう。まずは自分に合ったカードを1枚選び、設定を完了させることから始めてみてください。



