20代から資産運用を始めようと考えたとき、最初に悩むのが「まとまったお金を一度に投資するのか、それとも毎月コツコツと積み立てていくのか」という点ではないでしょうか。一括投資と分割投資にはそれぞれ異なる特徴があり、自分の資産状況や性格に合った方法を選ぶことが大切です。
特に20代は、運用できる期間が非常に長いという大きな武器を持っています。このメリットを最大限に活かすためには、投資手法の違いを正しく理解し、無理のない範囲で資産形成をスタートさせることが重要です。この記事では、それぞれの投資方法のメリット・デメリットを分かりやすく解説します。
将来のために一歩踏み出したいけれど、どちらのやり方が自分に向いているのか分からないという方は、ぜひ最後まで読み進めてみてください。20代の今だからこそ知っておきたい、効率的なお金の増やし方についてのヒントが見つかるはずです。
一括投資と分割投資は20代にとってどう違う?基本的な仕組みを解説

投資の世界には、大きく分けて「一括投資」と「分割投資」の2つの手法があります。20代の方が資産運用を検討する際、まずはこの2つの違いを明確に把握することが第一歩となります。ここでは、それぞれの基本的な定義と、若い世代にとっての重要性について見ていきましょう。
一度にまとまった資金を投じる「一括投資」とは
一括投資とは、手元にある資金を一度にすべて特定の銘柄や投資信託などに投入する方法です。例えば、貯金の中から100万円を一度に購入に充てるようなケースがこれに当たります。この手法の最大の特徴は、運用期間を最長化できる点にあります。投資の成果は「投資金額 × 運用利回り × 期間」で決まるため、最初から大きなお金を市場に置くことで、複利の恩恵を強く受けることが期待できます。
複利(ふくり)とは、運用で得た利益を再び投資に回すことで、利益が利益を生んでいく仕組みのことです。20代であれば運用期間を30年、40年と確保できるため、初期に大きな金額を投じることができれば、将来的な資産の膨らみ方は非常に大きくなります。ただし、購入した直後に市場が暴落すると、資産全体が大きなダメージを受けてしまうという側面も持っています。
そのため、一括投資を行う際には「今が買い時なのか」というタイミングを見極める力や、一時的な下落にも動じない強い精神力が必要になります。20代の場合、まとまった資金を用意するのが難しいことも多いですが、ボーナスや相続などで大きな金額が入った際には、この一括投資が選択肢の一つとなるでしょう。
時間を分散してリスクを抑える「分割投資」とは
分割投資とは、資金を一定の期間に分けて、少しずつ投資していく方法です。一般的には「積立投資」と呼ばれることが多く、毎月数万円ずつ、決まった日に購入し続けるスタイルが主流です。この手法の大きなメリットは、購入時期を分散させることで、価格変動のリスクを軽減できる点にあります。これを専門用語で「時間分散」と呼びます。
特に「ドル・コスト平均法」という手法が有名です。これは、価格が高いときには少なく、価格が安いときには多くの数量を買うことになるため、結果的に平均の購入単価を下げることができるという仕組みです。市場が下がっているときに「安く買えている」と前向きに捉えることができるため、初心者でも挫折しにくいという心理的な利点があります。
20代はこれから給与収入が増えていく時期であり、毎月の生活費の中から余剰資金を捻出しやすいため、分割投資は非常に相性が良いと言えます。一度設定してしまえば、あとは自動的に買い付けが行われるため、日々の忙しい仕事の合間でも無理なく続けられる資産形成の方法です。大きな資金がない状態からでも、月々数千円から始められる手軽さが魅力です。
20代が持つ最大の武器「時間」の活用
20代が資産運用を行う上で、何よりも強力な武器となるのが「運用期間の長さ」です。一括投資であれ分割投資であれ、運用期間が長ければ長いほど、一時的な相場の変動によるマイナスをプラスに転じさせる可能性が高まります。歴史的に見ても、株式市場は短期的には上下を繰り返しますが、20年や30年といった長期スパンで見れば、右肩上がりに成長してきた実績があります。
この「時間の力」を活かすためには、1日でも早く投資をスタートすることが重要です。一括か分割かで悩みすぎて、投資を始められない期間が長引くことこそが、実は最大の機会損失(利益を得るチャンスを逃すこと)になってしまうからです。20代のうちに少額からでも市場に参加し、投資の感覚を身につけることは、将来の資産額に決定的な違いをもたらします。
投資の経験が浅いうちは、どうしても「損をしたくない」という気持ちが先行しがちですが、長い目で見れば一時的な下落は通過点に過ぎません。まずは自分が許容できるリスクの範囲内で、どちらの手法が自分の今の生活スタイルに合っているかを考えてみましょう。時間を味方につけることが、20代の資産運用における成功の秘訣となります。
一括投資と分割投資の比較まとめ
・一括投資:資金を一度に投入。複利効果を最大限に狙えるが、タイミングによるリスクがある。
・分割投資:資金を分けて継続的に投入。購入単価を平準化でき、心理的なハードルが低い。
・20代の強み:圧倒的な「時間」があるため、どちらの手法でも長期的な成長を享受しやすい。
20代が知っておきたい一括投資のメリットと注意点

一括投資は、ある程度まとまった資金を持っている場合に非常に効率的な手法となります。20代であれば、これから紹介するメリットと注意点を天秤にかけ、今の自分にとって現実的な選択肢かどうかを判断してみてください。リスク管理の考え方を含めて深掘りしていきます。
運用期間の最大化による複利効果の向上
一括投資の最大のメリットは、運用期間を最大限に長く取れることです。例えば、120万円の投資資金がある場合、それを毎月10万円ずつ1年かけて分割投資するよりも、最初に120万円を一括で投資してしまった方が、全額が市場に滞在する期間は長くなります。投資の世界では「市場に居続ける時間」が長いほど、資産が増える可能性が高まるとされています。
最初から大きな元本で運用を始めることで、そこから生まれる利息や配当金も大きくなります。その増えた分がさらに次の利益を生むというサイクルが初期段階から強力に働くため、最終的な到達金額は分割投資よりも高くなる傾向があります。これは特に、右肩上がりの相場が続く状況において顕著な差となって現れます。
20代は定年退職まで30年以上の時間があるため、この「元本の大きさ × 期間」の力を最大限に享受できる世代です。もし貯金の中に、数年は絶対に使う予定のない余裕資金があるのなら、それを一括で投資に回すことは、理論上は最も効率の良い資産形成の手段と言えるでしょう。
管理の手間が少なくコストを抑えやすい
一括投資は、一度購入手続きを済ませてしまえば、その後の管理が非常に楽であるという側面があります。何度も買い注文を出す必要がないため、日々の株価チェックに時間を取られることも少なくなります。忙しく働く20代にとって、自分の時間を奪われずに資産運用ができるのは大きなメリットです。
また、投資信託や株式の売買には、手数料が発生する場合があります(最近のネット証券では無料化が進んでいますが)。何度も分割して購入すると、その都度手続きが発生しますが、一括であれば一度の取引で済みます。取引コストを最小限に抑え、シンプルに資産を管理したいという方には、このスマートな進め方が適しています。
投資を始めると、どうしても「今日は上がったかな」「明日は下がるかな」と気になってしまいがちですが、一括投資をして「あとは寝かせておくだけ」と割り切ることで、精神的な平穏を保ちやすくなる人もいます。自分の性格が、細かい作業を繰り返すよりも一度で済ませたいタイプであれば、一括投資の方が向いているかもしれません。
暴落時の心理的ダメージが非常に大きい
一括投資を行う上で、避けては通れない最大の注意点が「購入直後の暴落リスク」です。多額の資金を一度に投じた直後にリーマンショックやコロナショックのような大きな不況が来ると、一瞬にして資産の評価額が30%や50%も減少してしまう可能性があります。20代で初めて大きな投資をした直後にこのような事態に見舞われると、パニックになって売却してしまう人も少なくありません。
この「暴落」こそが一括投資の弱点です。分割投資であれば、暴落時も「安く買えている」と前向きに考えられますが、一括投資の場合はただ資産が減っていくのを見つめるしかありません。理論上は長く持てば回復する可能性が高いとはいえ、実際に自分の口座から数十万円、数百万円が消えていくのを見るのは相当なストレスになります。
そのため、一括投資を行うなら、生活防衛資金(半年〜1年分の生活費)をしっかりと確保した上で、なお余っているお金で行うのが鉄則です。また、自分がどれくらいの下落までなら耐えられるかという「リスク許容度」を冷静に見極める必要があります。20代はリカバリーが効くとはいえ、精神的に追い詰められない範囲での投資を心がけましょう。
一括投資は「お金に働いてもらう時間」を最大化する攻めの手法ですが、相場の下落という向かい風をまともに受ける可能性も秘めています。全額を一気に投じるのではなく、半分を一括、残りを分割といった折衷案も検討してみると良いでしょう。
分割投資(積立投資)が20代の資産形成に適している理由

多くの専門家が20代にまずおすすめするのが分割投資(積立投資)です。なぜこれほどまでに若い世代に推奨されるのでしょうか。そこには、収入構造や心理的な安定感、そして「投資の習慣化」という、これからの長い人生において非常に価値のあるメリットが隠されています。
収入に合わせた無理のない資産形成が可能
20代の多くは、社会人になって間もなかったり、まだ貯蓄が十分ではなかったりする時期です。そのような状況で、数百万円単位の一括投資を求めるのは現実的ではありません。分割投資であれば、毎月の給料の中から「1万円」「3万円」といったように、自分の生活レベルに合わせた金額を設定して始めることができます。
最近では、ネット証券を利用すれば100円から投資信託を購入できるサービスもあります。このように「少額から始められる」というハードルの低さは、投資経験のない20代にとって最大のメリットです。お小遣い程度の金額からでも、実際に自分のお金が動く経験をすることで、経済のニュースや市場の動きに関心を持つきっかけにもなります。
また、ライフイベントが多い20代にとって、投資額を柔軟に変更できる点も魅力です。結婚や引越しなどで出費がかさむ時期は投資額を減らし、余裕が出てきたら増やすといった調整が簡単に行えます。自分のペースを守りながら、息の長い資産形成を続けられるのが分割投資の良さです。
ドル・コスト平均法による購入単価の平準化
分割投資の強力な理論的支柱となっているのが「ドル・コスト平均法」です。これは、毎月一定の「金額」を投資し続けることで、価格が高いときには少なく、価格が低いときには多くの量を自動的に買い付ける手法です。これにより、長期間続ければ続けるほど、1単位あたりの平均購入単価が市場の平均価格に近づき、安定しやすくなります。
投資のプロでも「今が底値だ」と完璧に当てることは不可能です。であれば、最初からタイミングを当てることを放棄し、いつ上がっても下がっても良いように買い分けるという戦略は、非常に合理的です。特に変動の激しい現代の相場において、この平準化の効果は、大きな失敗を防ぐための防波堤として機能してくれます。
20代であれば、このドル・コスト平均法を数十年単位で継続できます。一時的な暴落は、むしろ「安く大量に仕入れるチャンス」に変わります。この仕組みを理解しておけば、相場が下がったときでも「今月はたくさん買えてラッキー」と思えるようになり、投資を継続するモチベーションを維持しやすくなるでしょう。
投資の習慣化とマネーリテラシーの向上
分割投資の隠れたメリットは、お金を貯めて運用する「習慣」が身につくことです。毎月自動的に引き落とされる設定にしておけば、先取り貯蓄と同じ感覚で資産を積み上げていくことができます。「余ったお金を投資しよう」と考えていても、なかなかお金は残らないものですが、強制的に仕組み化することで、20代のうちに健全な家計管理の基盤を作ることができます。
また、長期間の分割投資を通じて、資産が増えたり減ったりするプロセスを実体験として学ぶことができます。これは将来、より大きな資産を運用するようになったときに必要な「相場観」や「忍耐力」を養う貴重なトレーニングになります。20代のうちにこの感覚を掴んでおくことは、将来的なマネーリテラシー(お金の知識を使いこなす能力)を飛躍的に高めることにつながります。
資産運用は、一度成功すれば終わりというものではなく、一生付き合っていくものです。若い頃から「コツコツ積み上げる」という成功体験を積み重ねることは、自分自身の自信にもつながります。投資を特別なことではなく、日常の一部として取り入れられるのは、分割投資ならではの強みと言えます。
結局どっちがいい?20代のライフスタイルに合わせた選び方

一括投資と分割投資、それぞれの特徴を理解したところで、「じゃあ、私の場合はどちらを選べばいいの?」という疑問にお答えします。答えは一律ではなく、あなたの今の資産状況や、どのような性格であるかによって変わってきます。具体的なケースに当てはめて、判断基準を見ていきましょう。
手元にある余剰資金の額で判断する
最もシンプルな判断基準は、現在持っている「すぐに使わないお金」の量です。もし現在、貯金が数十万円程度で、それを投資に回すと生活に余裕がなくなるという場合は、迷わず「分割投資」を選んでください。まずは生活防衛資金を確保することが最優先であり、投資はその後のステップだからです。
一方で、すでに100万円、200万円といったまとまった貯金があり、そのうち半分程度を投資に回しても生活が揺るがないという場合は、「一括投資」を検討する余地があります。あるいは、「最初に50万円を一括投資し、残りは毎月3万円ずつ分割投資する」という組み合わせ技も非常に有効です。これにより、一括投資の効率性と分割投資の安定感の両方を取り入れることができます。
20代は転職や結婚、自己研鑽(資格取得やスクールなど)にお金が必要になる場面も多いです。そのため、全額を一括投資してしまい、「現金がなくてチャンスを逃した」という事態にならないよう、流動性(すぐにお金を引き出せる状態)を意識したバランス調整が大切です。以下の表で、状況別の推奨スタイルをまとめました。
| 現在の資産状況 | 推奨される投資スタイル | 理由 |
|---|---|---|
| 貯金が少なく、毎月の給与から捻出する | 分割投資(積立投資) | 無理なく始められ、習慣化できるため |
| まとまった余裕資金(100万円〜)がある | 一部を一括 + 残りを分割 | 効率とリスク分散のバランスが良いため |
| ボーナスや臨時収入が入った | 一括投資(または増額積立) | 浮いたお金を確実に資産に回せるため |
自分の性格とリスク許容度を見極める
投資手法を選ぶ上で、意外と重要なのが「自分の性格」です。あなたは、スマホで株価を頻繁にチェックしてしまうタイプでしょうか?それとも、一度決めたら放っておきたいタイプでしょうか?もし、資産が1日で数万円減るのを見て夜も眠れなくなるようなら、一括投資は避けた方が賢明です。
そのような方は、分割投資で少しずつ資産が増えていく過程に慣れていくのがおすすめです。少額から始めることで、価格変動に対する「心の筋肉」を鍛えることができます。逆に、細かいことを気にするのが面倒で、多少の変動は「30年後には上がっているだろう」と楽観的に捉えられるのであれば、一括投資の効率性を重視しても良いでしょう。
また、リスク許容度(どれくらいの損失に耐えられるか)は、年齢だけでなく、職種や家族構成によっても異なります。20代で独身であれば、比較的高いリスクを取ってもリカバリーが効きやすいため、一括投資への心理的なハードルは低いかもしれません。自分の内面と向き合い、「これなら続けられそう」と思える心地よい方法を選ぶことが、長期投資の成功への近道です。
将来の目標金額と期間から逆算する
「いつまでに、いくら貯めたいか」という目標から手法を考えるアプローチもあります。例えば、3年後の結婚資金を作りたいのであれば、一括投資で大きなリスクを取るよりも、分割投資で着実に積み立てる方が安全です。なぜなら、3年という短期間では、一括投資をした後に相場が戻らないまま目標時期を迎えてしまうリスクがあるからです。
一方で、30年後の老後資金が目的であれば、初期に一括投資をして時間を味方につける戦略が非常に強力に作用します。期間が長ければ長いほど、一括投資の期待リターンは高まる傾向にあるからです。このように、目的が「短期的なイベント」なのか「遠い将来の資産形成」なのかによっても、最適な手法は異なります。
もちろん、20代のうちは目標が途中で変わることも多々あります。そのため、あまりガチガチに決めすぎず、最初は分割投資からスタートし、投資に慣れてきたり、大きな資金ができたりしたタイミングで一括投資を組み合わせるという、柔軟なスタンスが最も失敗が少ないと言えるでしょう。投資は一度始めたら終わりではなく、ライフステージに合わせてアップデートしていくものだと考えてください。
新NISAを活用した20代のための具体的な投資戦略

2024年から始まった「新NISA(少額投資非課税制度)」は、20代の資産形成にとって非常に強力な味方です。この制度をうまく活用することで、一括投資と分割投資のメリットを最大限に引き出し、税金面でも大きな優遇を受けることができます。具体的な活用術を見ていきましょう。
「つみたて投資枠」と「成長投資枠」を使い分ける
新NISAには、年間120万円までの「つみたて投資枠」と、年間240万円までの「成長投資枠」という2つの枠があります。これらは併用が可能で、一括投資と分割投資の両方を行いたい20代にとって理想的な器となります。つみたて投資枠はその名の通り、長期の積立(分割投資)を前提とした枠であり、金融庁が厳選した低コストな投資信託が対象となっています。
一方の成長投資枠は、積立だけでなく一括で購入することも可能です。さらに、投資信託だけでなく国内外の株式にも投資できるため、より幅広い選択肢があります。例えば、「つみたて投資枠で毎月3万円をコツコツ積み立てつつ、ボーナスが入ったときは成長投資枠で一括購入する」といった柔軟な戦略が、この制度一つで完結します。
20代のうちにこの非課税枠を少しずつでも埋めていくことは、将来の資産額に驚くほどの差を生みます。通常、投資で得た利益には約20%の税金がかかりますが、NISAならこれが全額非課税になります。100万円の利益が出た場合、約20万円が手元に残るか、税金で引かれるかの差は非常に大きいです。このメリットを最大限に活かさない手はありません。
全世界株式や米国株式への長期分散投資
一括・分割のどちらの手法を選ぶにしても、投資先(銘柄)の選定は非常に重要です。20代の方に特におすすめしたいのが、特定の1社だけでなく、世界中の企業にまるごと投資する「全世界株式(オール・カントリー)」や、成長著しい「米国株式(S&P500など)」のインデックスファンドです。
インデックスファンドとは、日経平均株価のような指数と同じ動きを目指す投資信託のことです。これらに投資すれば、個別の企業の倒産リスクを分散しながら、世界経済の成長の恩恵を受けることができます。20代なら、目先の流行りの銘柄に飛びつくよりも、こうした王道の投資先を選んで長く持ち続けることが、最終的な成功確率を高めます。
一括投資でこうした優良な指数を購入すれば、長期的な経済成長の波に最初からフルパワーで乗ることができます。分割投資であれば、価格が下がった局面でも「世界経済の成長を安く買えている」という確信を持って続けられます。どちらの手法をとるにせよ、まずは「世界全体への分散」を基本の戦略に据えることをおすすめします。
生涯投資枠1,800万円を意識したプランニング
新NISAには、一人あたり生涯で合計1,800万円まで投資できる「非課税保有限度額(生涯投資枠)」が設定されています。20代であれば、この枠を一生かけてどのように埋めていくかという長期的なプランを立てることができます。一気に1,800万円を埋める必要はありませんが、若いうちから意識しておくことで、資産形成のスピードが変わります。
例えば、毎月5万円ずつ積み立てていけば、30年でちょうど1,800万円の枠を使い切ることができます(元本のみの計算)。運用益を含めれば、その頃には資産額は数千万円に膨らんでいる可能性が高いでしょう。もちろん、余裕があるときに一括投資を組み合わせて枠を早めに埋めるのも一つの手です。非課税枠は早く埋めるほど、その中で利益が出る期間も長くなるため、複利の効果をより強く受けられます。
ただし、無理をして枠を埋めようとして生活を切り詰めすぎるのは本末転倒です。20代は自己投資や人生を豊かにする経験にもお金を使うべき時期です。NISA枠は「売却すれば翌年以降に再利用できる」という柔軟な仕組みもあります。今の自分に最適な一括・分割のバランスを見つけながら、賢く制度を活用していきましょう。
新NISAは20代にとって「最強の資産形成ツール」です。つみたて投資枠を基本にしつつ、余裕があれば成長投資枠で一括投資を行うという「いいとこ取り」の戦略が、多くの人にとっての最適解になります。
20代からの一括投資・分割投資を成功させるための4つのポイント

手法を選び、投資をスタートさせたとしても、それを継続できなければ意味がありません。特に20代はこれからの人生が長く、市場の荒波に何度も遭遇することになるでしょう。資産運用を途中で投げ出さず、着実に成功させるための重要なポイントを4つにまとめました。
1. 生活防衛資金を絶対に確保しておく
どんなに魅力的な投資手法であっても、生活費を削ってまで行うべきではありません。急な病気やケガ、失業、冠婚葬祭などの予期せぬ支出に備えて、まずは生活費の6ヶ月〜1年分程度の現金を銀行口座に残しておきましょう。これを「生活防衛資金」と呼びます。
この資金があることで、暴落時に資産が目減りしても「生活には困らない」という心の余裕が生まれます。逆に、生活資金まで投資に回していると、暴落時にパニックになって「お金が必要だから今売るしかない」という、最悪のタイミングでの売却を強いられることになります。一括投資をする場合も、この防衛資金を差し引いた「本当の余剰資金」で行うことを徹底してください。
20代はライフイベントが多く、急にお金が必要になる場面が予想以上にあります。投資効率を追い求めるあまり現金を疎かにせず、安定した基盤の上に投資を積み上げる意識を持ちましょう。この安心感こそが、長期投資を継続させるための土台となります。
2. 投資の目的を見失わないようにする
資産運用を始めると、どうしても日々の「利益」や「損失」に一喜一憂してしまいがちです。しかし、20代のあなたの目的は、数十年後の豊かな生活や、将来の選択肢を増やすことにあるはずです。目先の利益を追いかけて頻繁に売買を繰り返すと、手数料がかさんだり、市場の急騰を取り逃したりして、結局リターンが低くなることが多いです。
一括投資をした後に価格が下がったとしても、あるいは分割投資でなかなか資産が増えない時期があったとしても、それは数十年という長いスパンで見れば些細な出来事です。自分が何のために投資をしているのか、時々振り返ってみる時間を作りましょう。目的が明確であれば、一時的な相場のノイズに惑わされることは少なくなります。
SNSなどで他人の収益報告を見ると焦ることもあるかもしれませんが、投資は他人と競うものではありません。自分のペースを守り、設定した目的(老後資金、住宅購入、子供の教育費など)に向かって淡々と進んでいくことが、最終的なゴールに辿り着くための確実な方法です。
3. 下落局面でも「やめない」と決めておく
資産運用における最大の敵は、相場の暴落ではなく「途中でやめてしまうこと」です。過去のデータを見ても、暴落時に怖くなって投資をやめてしまった人と、耐えて継続した人とでは、将来の資産額に天と地ほどの差がついています。特に20代の方は、これから数回は大きな不況を経験することになるでしょう。
その際、分割投資をしているなら「安く買えるバーゲンセールだ」と考え、一括投資をしているなら「将来必ず戻る」と信じて、何もしないことが最善の策です。相場が悪いときほど、ニュースやSNSでは悲観的な情報が溢れますが、そこを乗り越えた人だけが、その後の上昇相場の恩恵をフルに受けることができます。
あらかじめ「20%下がったらこう考える」といったルールを自分の中で決めておくのも有効です。投資は「買うとき」よりも「持ち続けるとき」の方が忍耐力を必要とします。20代の今のうちに、不調なときこそ冷静でいる姿勢を身につけておけば、一生モノの資産運用スキルとなるはずです。
4. 少額でも良いので今すぐ行動に移す
「一括投資ができるほどお金が貯まってから始めよう」とか「もっと勉強してからにしよう」と考えて、開始を先延ばしにすることこそが、20代にとって最大の損失です。投資の世界では、知識よりも「経験」と「時間」がものを言います。たとえ月5,000円の分割投資からでも、実際に自分のお金で運用を始めることで、見える景色がガラリと変わります。
少額であれば、失敗したときのダメージも最小限で済みます。若いうちに失敗を経験しておくことは、将来大きな資金を扱うようになったときの大きな糧になります。完璧な手法を求めるあまり足踏みするのではなく、まずはNISA口座を開設し、少額の積み立てを設定することから始めてみてください。
行動することで、初めて「自分は一括投資の方が向いているかも」「分割投資の方が安心できる」といった自分の特性に気づくことができます。20代の貴重な時間を無駄にせず、1日でも早く市場に参加することが、将来の自分への最高のプレゼントになるはずです。
成功のためのチェックリスト
・生活費の半年分以上は現金で持っているか?
・暴落しても「30年後は大丈夫」と信じられる投資先を選んでいるか?
・設定した積立は、無理なく続けられる金額か?
・今日、一歩でも具体的な行動(口座開設など)を起こしたか?
まとめ:一括投資と分割投資を使い分けて20代から賢く資産を増やそう
20代の資産運用において、一括投資と分割投資のどちらが正解かという問いへの答えは、「今の資産状況と心の余裕に合わせる」のがベストです。資金効率を優先して時間を最大限に味方につけたいなら一括投資が有利ですが、多くの20代にとっては、収入に合わせて着実に資産を積み上げ、リスクを分散できる分割投資(積立投資)が最も継続しやすく、安心できる手法と言えるでしょう。
もし、ある程度の貯金があるなら「一部を一括、残りを分割」という組み合わせを取り入れるのが非常に賢明な判断です。新NISAという素晴らしい制度が整っている今、私たちはかつてないほど恵まれた環境で資産形成をスタートできます。大事なのは、手法にこだわりすぎて時間を浪費するのではなく、自分に合ったスタイルで今すぐ市場に参加し、長く居続けることです。
20代のうちに身につけた投資習慣と、積み上げた資産は、将来のあなたを守る強力な土台となります。一括・分割のそれぞれの特徴を理解したあなたなら、きっと自分にぴったりの方法を選べるはずです。まずは小さな一歩から、将来を明るくするための資産形成を始めていきましょう。



