20代で家計を見直していると、毎月の医療保険料を払い続けるより、そのお金をNISAなどの投資に回したほうが将来の資産形成に役立つのではないかと考えることがあります。
一方で、病気やけがは年齢に関係なく起こるため、医療保険を解約した直後に入院したら困るのではないか、若いうちに加入しておかないと将来の保険料が高くなるのではないかという不安も残ります。
20代の医療保険が必要かどうかは、年齢だけで決まるものではなく、現在の貯蓄額、毎月の生活費、雇用形態、公的保障、家族からの支援、持病の有無などを組み合わせて判断する必要があります。
特に注意したいのは、医療保険をやめて投資を始めれば問題がすべて解決するわけではなく、近い将来に使う可能性がある医療費まで値動きのある金融商品へ入れてしまうと、必要な時期に損失を抱えたまま売却するおそれがあることです。
医療保険を継続するか投資を優先するかで迷っている人が、感情や営業トークだけで決めず、自分の家計に合った順番を選べるように、公的保障の範囲、保険が不要になりやすい条件、残したほうがよいケース、投資へ回す際の注意点を具体的に整理します。
20代は医療保険より投資を優先してもよいのか

結論からいえば、生活防衛資金が十分にあり、公的医療保険や勤務先の保障で急な支出に対応できる20代は、手厚い医療保険を持たず、余裕資金を長期投資へ回す選択肢があります。
ただし、貯蓄がほとんどない人、病気で働けなくなるとすぐ生活費が不足する人、自営業やフリーランスで休業中の所得保障が弱い人は、投資より先に現金と最低限の保障を準備するほうが安全です。
医療保険と投資のどちらが有利かを一律に決めるのではなく、短期の医療費には現金、中長期の大きな損失には保険、長期の資産形成には投資というように、資金の役割を分けて考えることが重要です。
結論は家計の余力で変わる
20代だから医療保険はいらないと断定することも、若いうちから必ず加入すべきだと決めつけることも適切ではなく、判断の中心になるのは病気になったときに自分の現金でどこまで耐えられるかという家計の余力です。
例えば、普通預金に100万円以上あり、毎月の固定費が低く、会社員として傷病手当金の対象になり、実家からの支援も期待できる人は、短期間の入院費や収入減少を自分で吸収できる可能性が高くなります。
反対に、貯蓄が10万円程度しかなく、家賃や奨学金返済の負担が大きく、欠勤すると給与がすぐ減る人は、医療費そのものが高額でなくても、入院中の生活費や退院後の固定費によって家計が行き詰まるかもしれません。
医療保険を減らして投資を始める判断は、保険料がもったいないという気持ちだけで行わず、治療費、保険適用外費用、休業による収入減少を合計しても生活を維持できるかを数字で確認してから行う必要があります。
優先順位の基本は、毎月の赤字解消、生活防衛資金の確保、必要最低限の保障、長期投資の順であり、投資額を増やすために現金の備えを削る方法は20代であっても避けたほうが無難です。
公的医療保険が土台になる
日本で健康保険や国民健康保険に加入している20代は、保険診療を受けた場合の窓口負担が原則として医療費の3割となるため、治療費の全額を自分で支払うわけではありません。
さらに、1か月の自己負担が所得に応じた上限を超えた場合には高額療養費制度を利用できるため、民間の医療保険を検討する前に、公的制度によってどこまで負担が抑えられるかを確認することが大切です。
| 確認する制度 | 主な役割 | 注意点 |
|---|---|---|
| 健康保険 | 保険診療の自己負担を軽減 | 保険外費用は対象外 |
| 高額療養費 | 月単位の負担に上限 | 所得区分で上限が異なる |
| 傷病手当金 | 休業中の所得を補う | 対象となる働き方が限られる |
| 勤務先の福利厚生 | 見舞金や付加給付 | 退職後は利用できない場合がある |
公的保障を把握しないまま民間保険へ加入すると、必要以上に大きな入院給付金や複数の重複した特約を契約する可能性があるため、健康保険証の種類と勤務先の制度を先に調べましょう。
自己負担割合や制度改正の内容は将来変わる可能性があるため、契約や解約の前には厚生労働省の医療保険情報や加入している健康保険の案内で最新条件を確認することが欠かせません。
高額療養費で負担を抑えられる
高額療養費制度は、同じ月に医療機関や薬局で支払った保険診療の自己負担が所得ごとの限度額を超えた場合に、超過分の支給を受けられる仕組みです。
2026年6月時点の制度では、70歳未満で年収約370万円から約770万円の区分に該当する人が医療費100万円の治療を受けた場合、3割の30万円を最終的にすべて負担するのではなく、自己負担は約8万7千円が目安になります。
- 上限は年齢と所得で異なる
- 月をまたぐと別計算になる
- 差額ベッド代は対象外になる
- 入院時の食事代は別に必要になる
- 先進医療の技術料は対象外になる
高額療養費があるから現金は不要という意味ではなく、制度の対象外となる費用、払い戻しまでの資金、入院中の家賃や通信費などを準備しておく必要があります。
高額療養費制度は2026年8月以降に年間上限の導入などを含む見直しが予定されているため、具体的な限度額を試算するときは厚生労働省の高額療養費制度の案内で診療月に適用される条件を確認してください。
20代の入院リスクはゼロではない
20代は高齢者と比べて入院や長期治療の可能性が低い傾向にありますが、交通事故、スポーツ中のけが、急性疾患、精神疾患、婦人科系疾患など、若い世代でも治療や休業が必要になる原因はあります。
厚生労働省の2023年患者調査では、入院受療率は高齢になるほど高くなる傾向が確認できますが、統計上の発生率が低いことと、自分に発生したときの家計負担が小さいことは同じではありません。
保険の必要性は病気になる確率だけでなく、発生した場合の損失額と自分の支払い能力で考える必要があり、確率が低くても一度の休業で家賃や返済が滞る人には備えが必要です。
一方で、発生するか分からない小さな支出まで保険で準備すると毎月の固定費が増え、長期的には貯蓄や投資に回せる金額が減るため、自分で負担できる範囲まで保険へ移す必要はありません。
医療保険を持たない選択をする場合は、若いから大丈夫と楽観するのではなく、医療費専用の現金を確保し、病気になった際の連絡先や勤務先の申請手続きも確認しておくことが重要です。
貯蓄が少ない人には保険が役立つ
医療保険は、支払った保険料を増やすための商品ではなく、少ない保険料で発生時期の読めないまとまった支出を保険会社へ移すための商品であり、貯蓄形成の途中にある人ほど家計を守る効果を感じやすくなります。
例えば、退院までに医療費や生活関連費として20万円必要になったとき、普通預金が100万円ある人は自分の資金で対応できますが、貯蓄が5万円しかない人は借入れや支払いの延滞につながる可能性があります。
貯蓄が少ない段階では、月額保険料を抑えたシンプルな医療保険を一時的な橋渡しとして利用し、生活防衛資金が増えた時点で保障額や特約を見直す方法も考えられます。
ただし、保険料を払うことで貯蓄がまったく増えない状態になると、いつまでも保険から離れられないため、保障を追加するたびに毎月いくら現金を積み立てられるかも確認しましょう。
保険に加入した安心感だけで家計対策を終わらせず、給付金が支払われない通院、短期療養、収入減少にも対応できるように、少額でも普通預金への積立を並行することが大切です。
投資は医療費の代替にならない
NISAで投資信託を積み立てていても、その資産価値は市場環境によって変動するため、急な入院費が必要になった時点で元本割れしている可能性があります。
投資は10年や20年といった長期の資産形成に向いていますが、半年後や来年に使うかもしれない医療費を準備する方法としては不安定であり、保険や現金と同じ役割を担うものではありません。
医療保険を解約して浮いた金額をすべて投資へ回すのではなく、まず普通預金など値下がりしない資産で生活防衛資金を確保し、その基準を超えた余裕資金だけを積み立てるのが基本です。
相場が下落したときに病気で収入まで減ると、安値で投資商品を売却することになり、治療後の資産形成にも影響するため、医療費用の現金と長期投資の口座は分けて管理すると判断しやすくなります。
投資を優先するという言葉は、保険をゼロにして全額を運用する意味ではなく、必要な短期資金と大きな損失への備えを確保したうえで、過剰な保障に使っていたお金を将来へ振り向ける意味で捉えましょう。
性別や働き方でも判断が変わる
同じ20代でも、会社員、公務員、自営業、フリーランス、扶養内勤務では、病気で働けなくなったときに受けられる所得保障や勤務先の福利厚生が異なるため、必要な医療保険の水準も変わります。
会社員など被用者保険の加入者は、条件を満たせば傷病手当金を受けられる可能性がありますが、自営業者が加入する国民健康保険では、同じ内容の法定給付が常に用意されているわけではありません。
女性は妊娠や出産に関連する入院を意識して医療保険を検討することがありますが、正常分娩は一般に公的医療保険や通常の入院給付金の対象にならず、異常分娩や帝王切開など支払条件に該当する場合に給付対象となる商品が中心です。
妊娠後や病気の診断後は新規加入や特約付加が難しくなる場合がある一方、将来使うか分からない保障を長期間持つ負担もあるため、予定しているライフイベントと貯蓄計画を合わせて判断する必要があります。
職業、健康状態、家族歴、妊娠の希望だけで機械的に決めず、給付対象、免責事由、支払限度日数、更新時の保険料を約款や契約概要で確認し、自分が心配している支出を本当に補える商品かを見極めましょう。
まず確認したい公的保障の範囲

医療保険が必要かを判断する前に、健康保険、高額療養費、傷病手当金、勤務先の付加給付など、自分がすでに利用できる保障を一覧にする必要があります。
民間保険は公的保障だけでは埋めにくい負担を補うためのものであり、制度を知らないまま契約すると、実際の不足額より大きな保障へ保険料を払い続けることになりかねません。
治療費だけでなく、働けない期間の収入、保険適用外の費用、申請方法まで確認すると、自分にとって不足している部分が具体的に見えてきます。
窓口負担の仕組み
20代が保険診療を受ける場合、窓口で支払う金額は原則として医療費の3割ですが、治療内容や医療機関の選び方によっては公的医療保険が適用されない費用も発生します。
自己負担を試算するときは、医療費の総額に単純に3割を掛けるだけでなく、高額療養費の上限、保険適用外費用、月をまたぐ入院かどうかを分けて計算することが重要です。
| 費用の種類 | 公的医療保険 | 備え方の例 |
|---|---|---|
| 保険診療 | 原則3割負担 | 現金と高額療養費 |
| 差額ベッド代 | 原則対象外 | 普通預金 |
| 入院時の食事代 | 一部自己負担 | 普通預金 |
| 先進医療の技術料 | 対象外 | 特約または現金 |
| 日用品や交通費 | 対象外 | 生活防衛資金 |
個室を自分から希望しなければ差額ベッド代を避けられる場合もあるため、民間保険の入院日額を決める際は、必ず個室を使う前提にする必要があるかも検討しましょう。
公的制度の対象外費用をすべて保険で準備しようとすると保険料が高くなるため、発生頻度が低く自分で支払える金額は現金で持ち、家計を大きく壊す損失だけを保障する考え方が有効です。
休業時の給付
病気やけがで仕事を休んだときは、医療費よりも給与が減ることのほうが家計に大きな影響を与える場合があるため、健康保険の傷病手当金や会社の休職制度を確認する必要があります。
協会けんぽなどの被用者保険では、業務外の病気やけがで働けず、連続する3日間を含めて4日以上休み、給与を受けられないなどの条件を満たすと、傷病手当金の対象になる可能性があります。
- 支給額は給与のおおむね3分の2
- 支給期間は通算1年6か月
- 待期となる連続3日間が必要
- 業務上や通勤中の事故は労災を確認
- 自営業者は同じ給付がない場合が多い
正確な支給額は標準報酬月額などを基に計算され、休業中に給与が支払われる場合は調整されるため、手取り収入の3分の2がそのまま振り込まれるとは限りません。
対象条件や申請書類は協会けんぽの傷病手当金の案内や勤務先の人事担当者へ確認し、支給までの生活費を普通預金で持っておくことも必要です。
保障されない費用
高額療養費や医療保険の入院給付金があっても、家賃、奨学金、通信費、家族への仕送りなどの固定費は止まらないため、入院中の生活費は別に確保しなければなりません。
通院中心の治療では入院日額型の医療保険から給付を受けられないことがあり、診断書の発行費、通院交通費、家事代行費、療養中の食事などが自己負担になる場合もあります。
また、契約前に発症していた病気、告知内容に不備があった場合、約款上の支払対象に該当しない治療、免責期間中の給付事由などは、保険へ加入していても給付金を受け取れない可能性があります。
医療保険を契約するときは、入院すれば必ず給付されると考えず、1回の入院限度日数、通算限度日数、日帰り入院の定義、手術給付金の対象、精神疾患の取扱いを確認しましょう。
保険で補えない支出が一定数残ることを前提にすると、医療保険へ多く払うより、少額保障と現金を組み合わせたほうが幅広い状況へ対応しやすい場合があります。
医療保険がいらない人の判断基準

医療保険を持たなくても家計を維持しやすい人には、急な支出へ使える現金があり、休業時の所得保障が厚く、毎月の固定費が低いという共通点があります。
保険を解約できるか判断するときは、現在健康であるかだけでなく、入院が数週間続いた場合や半年間収入が減った場合の資金繰りまで確認する必要があります。
複数の条件を満たすほど医療保険の優先度は下がりますが、一つでも満たせば必ず不要になるわけではないため、総合的に判断しましょう。
生活防衛資金がある
医療保険を持たない選択をしやすいのは、入院費や休業中の生活費を投資商品を売らずに支払えるだけの生活防衛資金を確保している人です。
必要額は家族構成や雇用の安定性によって異なりますが、まずは毎月の生活費を計算し、失業や療養が重なっても数か月生活できる現金を普通預金などで持つことが基本になります。
- 月の最低生活費を算出する
- 医療費用の予備費を加える
- 収入が止まる期間を想定する
- 家族からの支援可能額を確認する
- 投資資産は予備費に含めない
一人暮らしで毎月の最低生活費が15万円なら、3か月分で45万円、6か月分で90万円となり、さらに医療費や引っ越しなどの臨時支出を加えると必要額は大きくなります。
金融経済教育に関する情報でも、生活防衛資金として生活費の3か月から1年分を確保する考え方が示されているため、投資を増やす前に資金を使う時期ごとに分ける考え方を参考にしましょう。
固定費を自力で払える
医療保険が不要になりやすい人は、治療費だけでなく、病気で収入が減った期間の固定費まで現金や公的給付で支払える状態にあります。
判断するときは、入院費の平均額だけを見るのではなく、自分の家賃、返済、保険料、税金、通信費、最低限の食費を使って具体的な資金繰りを作ることが重要です。
| 家計の状態 | 医療保険の優先度 | 主な対策 |
|---|---|---|
| 貯蓄が十分 | 低くなりやすい | 現金で自己負担 |
| 固定費が低い | 低くなりやすい | 予備費を維持 |
| 傷病手当金がある | 下げやすい | 支給条件を確認 |
| 借入返済が大きい | 高くなりやすい | 保障と現金を併用 |
| 収入が不安定 | 高くなりやすい | 生活費を厚く確保 |
実家暮らしで家賃負担がなく、病気の際に家族の支援を受けられる人は必要資金を抑えられますが、支援を当然の前提にせず、家族の収入や意向も確認しておく必要があります。
一人暮らしで頼れる人がいない場合は、同じ貯蓄額でも資金不足の影響が大きくなるため、保険を減らす場合には現金の基準を高めに設定したほうが安心です。
勤務先の保障が厚い
健康保険組合によっては、法定の高額療養費に加えて自己負担をさらに抑える付加給付を設けている場合があり、勤務先の保障が厚い人は民間医療保険の必要額を下げられます。
会社独自の見舞金、休職中の給与補償、有給休暇、団体保険、所得補償制度が利用できる場合もあるため、給与明細から保険料が引かれているか、人事制度にどのような給付があるかを調べましょう。
ただし、勤務先の保障は転職や退職によって失われる可能性があり、団体保険も退職後に同じ条件で継続できるとは限らないため、長期間変わらない個人保障とは分けて考える必要があります。
転職予定がある人は、現在の福利厚生だけで医療保険を不要と判断せず、転職先が決まるまでの無職期間や、新しい健康保険へ切り替わった後の保障も想定しましょう。
勤務先の保障、公的制度、普通預金を合計して十分な金額になるなら、民間医療保険を解約するだけでなく、入院日額や特約を減らして保険料を抑える方法も選べます。
医療保険を残したほうがよいケース

20代でも、病気が発生した際に現金不足へ陥りやすい人や、休業時の所得保障が弱い人は、投資を優先する前に医療保険を残したほうが安心できる場合があります。
特に、貯蓄形成の途中、扶養家族がいる、収入が不安定、持病がある、近く独立する予定があるといった状況では、少額の保険料で家計の急変を抑える意味があります。
必要なのは過剰な特約を積み上げることではなく、自分では負担しにくい損失だけを選び、生活防衛資金が増えたら定期的に見直すことです。
貯蓄が十分でない
医療費を支払うと家賃やクレジットカードの引き落としができなくなるほど貯蓄が少ない場合は、投資よりも現金と最低限の医療保障を優先したほうが家計の安定につながります。
投資商品は購入直後に値下がりすることがあり、必要な医療費を確実に準備できないため、貯蓄が少ない段階で保険を解約して全額を投資する方法は適していません。
- 貯蓄が生活費1か月分未満
- 毎月の収支が赤字
- カードの分割払いがある
- 急な10万円を用意できない
- 家族から支援を受けられない
これらに該当する場合は、投資額を増やすより固定費の削減や借入返済を優先し、医療保険は家計を圧迫しない範囲のシンプルな内容へ絞るほうが現実的です。
現金が一定額まで増えたら保障を減らす期限を決めておくと、保険へ加入したまま放置することを防ぎ、将来は保険料を投資へ振り替えやすくなります。
休業保障が弱い
自営業者、フリーランス、業務委託、歩合給の割合が大きい人は、病気で働けない期間に収入が急減しやすいため、会社員よりも生活費への備えを厚くする必要があります。
医療保険は治療費の補助にはなりますが、毎月の収入全体を補う商品ではないため、長期休業が心配な人は就業不能保障や所得補償の必要性も別に検討しましょう。
| 働き方 | 休業時の特徴 | 優先したい備え |
|---|---|---|
| 会社員 | 傷病手当金の可能性 | 制度確認と予備費 |
| 公務員 | 共済や休暇制度を確認 | 勤務先制度の把握 |
| 自営業 | 売上が止まりやすい | 厚めの現金 |
| フリーランス | 案件喪失の可能性 | 所得補償も検討 |
| 非正規雇用 | 加入保険で条件が変わる | 保険証と雇用条件の確認 |
会社員でも、傷病手当金を受け取るまでの期間や支給額と固定費との差額は自分で負担するため、制度があるだけで医療保険や現金が不要になるわけではありません。
休業リスクへの備えは、入院日額を大きくするより、現金、傷病手当金、就業不能保障を組み合わせたほうが、通院や自宅療養で働けない状況にも対応しやすくなります。
健康状態に不安がある
すでに通院している人、検査で経過観察を指示されている人、家族歴などから将来の治療を心配している人は、解約後に同じ条件で医療保険へ入り直せない可能性を考える必要があります。
医療保険は若く健康なうちほど加入しやすい傾向がありますが、長期間保険料を払う総額も大きくなるため、加入しやすさだけを理由に必要以上の保障を契約する方法は避けましょう。
既契約を見直すときは、現在の契約を先に解約せず、新しい保険の審査結果、保障開始日、免責条件を確認してから切り替えないと、保障がない期間が発生するおそれがあります。
持病がある人向けの商品は、一般の商品より保険料が高い場合や一定期間の給付が削減される場合があるため、現在の契約を維持する費用と、自分で貯蓄する費用を比較しましょう。
健康への不安が強く投資中も心配で相場変動に耐えられない人は、数値上の効率だけで保険をなくさず、家計を圧迫しない金額で安心を確保することも合理的な選択です。
投資を優先するときの始め方

医療保険を減らして投資へ回す場合は、解約と同時に高額な金融商品を買うのではなく、生活防衛資金、投資目的、積立期間、許容できる値下がり幅を順番に決めます。
20代は運用期間を長く取りやすいことが強みですが、長期投資でも元本保証はなく、近い将来に使うお金を入れないことが継続の前提になります。
保険料の削減額だけに注目せず、手数料の低い商品を選び、無理のない金額で積立を継続できる仕組みを作りましょう。
資金を三つに分ける
投資を始める前に、お金を日常生活に使う資金、数年以内に使う予定資金、10年以上使わない長期資金へ分けると、医療費まで投資してしまう失敗を防げます。
医療保険を解約して浮いた保険料も、生活防衛資金が目標額に達していなければ、最初から全額をNISAへ入れず、普通預金への積立を優先する必要があります。
- 短期資金は普通預金で持つ
- 医療費の予備費を分ける
- 数年以内の予定資金は投資しない
- 長期の余裕資金だけ運用する
- 積立後も現金残高を確認する
例えば、保険の見直しで月5千円浮いても、生活防衛資金が不足している間は3千円を預金、2千円を投資とし、目標額へ到達してから投資割合を増やす方法があります。
現金を持つことは投資機会を失う行為ではなく、相場下落時に金融商品を売らず、積立を継続するための安全装置になると考えましょう。
積立額を無理なく決める
医療保険料を投資へ回した場合の将来額を考えるときは、運用益だけでなく、元本割れの可能性、手数料、積立を中断する可能性を含めて判断する必要があります。
仮に毎月一定額を20年間積み立て、年4%で複利運用できたと仮定すると資産は増えますが、年4%は将来を保証する数字ではなく、実際の運用結果は市場によって上下します。
| 毎月の積立額 | 20年間の元本 | 年4%と仮定した試算 |
|---|---|---|
| 3,000円 | 72万円 | 約110万円 |
| 5,000円 | 120万円 | 約183万円 |
| 10,000円 | 240万円 | 約367万円 |
保険料を削減して生まれた月3千円や5千円でも、長期間継続すれば資産形成に役立つ可能性がありますが、短期の医療費を投資で増やそうとする目的には向きません。
積立額は相場が下落しても売却せず、急な出費があっても停止しなくて済む範囲に設定し、昇給や生活防衛資金の増加に合わせて段階的に引き上げるほうが継続しやすくなります。
NISAを目的に合わせて使う
NISAは投資によって得た利益が非課税になる制度であり、20代が長期の資産形成を始める際の選択肢になりますが、NISAを使えば損失が発生しないわけではありません。
2026年6月時点のNISAでは、つみたて投資枠が年間120万円、成長投資枠が年間240万円で併用でき、非課税保有限度額は合計1,800万円ですが、上限まで投資する必要はありません。
初心者は、商品数を増やすことより、投資対象が広く分散され、信託報酬などのコストが低く、値動きの理由を理解できる商品を無理のない金額で積み立てることを優先しましょう。
つみたて投資枠の対象商品や制度の最新条件は金融庁のNISA特設サイトで確認し、過去の好成績やSNS上の評判だけで商品を選ばないことが重要です。
医療保険を減らして生まれた余裕資金は、毎月自動積立に設定すると使い込みを防げますが、年に一度は現金残高と保険の不足額を確認し、投資額が家計に対して大きすぎないかを見直しましょう。
20代は保障と資産形成を順番で考える
20代は入院リスクが比較的低い傾向にあり、公的医療保険や高額療養費制度も利用できるため、十分な貯蓄と勤務先の保障がある人は、手厚い医療保険を持たずに余裕資金を長期投資へ回す選択ができます。
ただし、医療保険がいらないという判断は、若さや健康への自信だけではできず、治療費、保険適用外費用、休業中の収入減少、毎月の固定費を現金や公的給付で負担できることが前提です。
貯蓄が少ない人や自営業者、頼れる家族がいない人、健康状態に不安がある人は、投資を急ぐより生活防衛資金と最低限の保障を先に用意し、家計が安定した段階で保険料を減らすほうが安全です。
医療保険と投資は優劣を争う商品ではなく、保険は発生時期の読めない損失を移す手段、現金は近い将来の支出へ備える手段、投資は長期間使わないお金を育てる手段として役割が異なります。
毎月の赤字をなくし、生活防衛資金を確保し、公的保障で不足する部分だけを保険で補い、その後にNISAなどで積立投資を始める順番を守れば、20代の現在の安心と将来の資産形成を両立しやすくなります。


