株主優待は100株以上必要だと思われがちですが、「端株」と呼ばれる1株だけの保有でも優待を受けられる企業があります。ただし、株を1株買えばどんな優待でももらえるわけではありません。保有する株数に加え、証券会社、権利確定日、申込手続きなどを確認する必要があります。
この記事では、2026年に公式情報で確認できる端株優待の具体例、対象にならなくなった銘柄、1株の買い方を紹介します。少額から試したい人が「どれを選べばよいか」「買っても届かないのはなぜか」を判断できるよう、注意点も整理しました。
優待は端株1株でももらえる?企業ごとの条件次第です

1株から受けられる株主優待はありますが、一般的な優待は100株以上が対象です。まずは会社の公式情報に「1株以上」「単元未満株主を含む全株主」と記載されているかを確認しましょう。1株での保有と100株での保有では、受け取れる特典が違うこともあります。
「端株」は一般に100株未満の単元未満株を指して使われる
上場する日本株の多くは、通常の取引で100株を1単元として扱います。その単元に満たない1~99株が「単元未満株」です。ネット上では1株投資のことを端株投資と呼ぶ場合がありますが、厳密には端株は1株未満の端数を指すこともあるため、言葉の使い方には違いがあります。
現在、証券会社で1株を買いたい場合は「単元未満株」のサービスを探すのが確実です。1株あたり2,000円の会社なら、100株の購入には単純計算で20万円が必要ですが、単元未満株なら原則として1株相当の資金から検討できます。ただし、注文時に必要な金額や費用はサービスによって変わります。
「全株主対象」でも優待品が無料とは限らない
端株優待には、現物商品、カレンダー、ポイント、施設割引券、株主向け商品販売など複数の種類があります。例えば「1株から優待あり」と紹介されていても、実際には通常価格より安く買える申込券であり、商品が無条件で届くわけではない場合があります。
会社によっては全株主向けの割引券と100株以上向けの商品セットを並行して実施します。対象株数だけでなく、どの特典が自分に適用されるかが大切です。実際に使える特典なのか、購入・利用に追加費用がかからないかまで確認しておきましょう。
1株からの配当金と株主優待は別の制度
単元未満株でも、企業が配当を実施すれば保有株数に応じて配当金を受け取れます。しかし、株主優待は企業が任意に設定する制度なので、1株保有者を対象にする義務はありません。配当が受け取れたからといって、優待の条件を満たしたとは限らないのです。
さらに、単元未満株には通常、株主総会の議決権がありません。楽天証券のかぶミニの公式説明でも、優待に必要な保有株数などは銘柄ごとに異なると案内されています。端株投資の目的を、配当・優待・少額での保有のどれに置くのか整理すると銘柄を選びやすくなります。
2026年に公式情報で確認できる1株・端株優待の具体例

ここでは、企業の公式ページに単元未満株や全株主を対象とする記載がある例を挙げます。内容は2026年10月時点の案内に基づきます。表に記載した基準日を過ぎてから購入しても、その回の優待は受けられません。また、次回も同じ条件が続くとは限りません。
| 銘柄 | 1株保有者向けの特典 | 対象・条件の概要 |
|---|---|---|
| マネックスグループ(8698) | 50マネックスポイント | 3月末・9月末、マネックス証券口座で1~99株 |
| SBIホールディングス(8473) | グループ商品を50%割引で買える申込券 | 2026年3月末の全株主 |
| パソナグループ(2168) | 淡路島の飲食・レジャー施設割引券 | 2026年5月末、100株未満も対象 |
| 日本ケミファ(4539) | ヘルスケア商品の優待セール | 3月末・9月末の1株以上 |
| クラレ(3405) | 希望者へのグループカレンダー | 2026年6月末株主、申込が必要 |
マネックスグループ:1~99株で半期50ポイント
マネックスグループは毎年3月31日と9月30日を基準日とし、マネックス証券の証券口座に自社株式を1株以上保有している株主へマネックスポイントを付与します。公式案内では1~99株の保有者への付与数は半期50ポイントで、1ポイントは1円相当です。毎回の条件を満たせば年2回の対象となります。
見落としやすいのはマネックス証券の口座に保有することが条件である点です。他の証券会社で買っただけでは対象になりません。また、ポイント付与時に証券口座を解約していれば対象外です。NISA口座など対象となる保有数の数え方や、dポイントへの自動交換条件もマネックスグループ公式ページで確認してください。
SBIホールディングス:1株なら商品購入の割引券
SBIホールディングスは、2026年3月31日時点の株主に対し、単元未満株式のみの保有者を含む全株主へ、グループ会社の商品を通常価格から50%割引で購入できる申込券を贈呈すると案内しています。対象には健康食品や化粧品などが含まれますが、商品の購入には支払いが必要です。
同社は100株以上の株主向けに暗号資産XRPのクーポンや商品セットを選べる優待も設けています。ただし、1株だけの株主がこの選択特典を受けられるわけではありません。ネットで「SBIの優待は高額」と紹介されていても、必要株数を確認して判断しましょう。公式の株主優待案内に株数別の内容が掲載されています。
パソナグループ:淡路島を利用する人向けの施設割引
パソナグループは2026年5月末の株主に対し、1単元未満の保有者にも淡路島の施設割引券を用意しています。公式ページでは対象飲食施設の30%割引と、ニジゲンノモリの対象アトラクションの50%割引が案内されています。旅行やレジャーで使う予定のある人には、利用価値を判断しやすい優待です。
ただし、宿泊券や商品が当たる抽選式の優待は100株以上が条件です。また、店舗やアトラクション、利用日、同行者に関する制限もあります。割引率だけを見て判断せず、行きたい施設が対象かを公式の優待ページで確認してください。近くに住んでいない人は交通費も考える必要があります。
日本ケミファ:1株以上で自社商品の優待販売
日本ケミファは、毎年3月31日と9月30日現在の株主名簿に記載された1株以上の株主に対し、ヘルスケア商品の優待セールを実施しています。公式の案内では7~8月と12月~翌1月の年2回が予定されています。
自社商品を無料で受け取れる制度ではなく、株主向けの優待販売です。欲しい商品が決まっているなら、一般の販売価格と比較して買う価値を判断できます。反対に、利用する予定がない商品を優待という理由だけで買うと支出が増えます。対象株数や実施時期は日本ケミファの公式サイトに明記されています。
クラレ:希望する株主が申し込めるカレンダー
クラレは、2026年6月末時点の株主のうち希望する人すべてへ、2027年版のグループカレンダーを進呈すると案内しています。申込方法は専用サイトまたは案内に同封されるはがきです。2026年の申込期限は11月30日とされ、株主1名につき1部、発送は日本国内に限る条件があります。
この特典の注意点は、対象となる株主であっても申し込みを忘れると受け取れないことです。保有しているだけで必ず届くと考えず、株主向けの郵便や専用サイトを確認してください。カレンダーを実際に使いたい人には分かりやすい例ですが、翌年も同様に提供されるとは限りません。2027年版の申込案内を参照できます。
過去の端株優待が廃止・変更されている例に注意

端株優待の一覧記事には、過去の制度が掲載されたままになっている場合があります。特に1株優待は条件変更の影響を受けやすく、昔の受取報告だけでは現在の権利を確認できません。購入を考える際は、必ず最新の適用基準日と対象株数を調べてください。
Joshin(旧・上新電機)は2026年の優待条件が100株以上
Joshinは、旧社名の上新電機として1株優待の例に挙げられていた会社です。しかし、2026年の公式優待ページでは3月末、9月末の両方で100株以上を対象としています。2026年4月には会社名も株式会社Joshinへ変わっています。
現在の案内では、株主ご優待カードが保有株数などの条件に応じて贈呈されます。したがって、以前の「上新電機は1株で優待がもらえる」という情報を、そのまま今の購入理由にしないことが重要です。Joshinの株主優待情報を確かめてください。
三菱マテリアルは2026年3月末分から制度廃止
かつて貴金属などに関連する株主向け特典で知られた三菱マテリアルですが、公式サイトによると2026年3月31日現在の株主を対象とする分から株主優待制度を廃止しました。2025年9月末を基準とした優待についても、利用期間は2026年6月30日で終わっています。
古いサイトの「1株で特典」という表現や、過去に届いた案内の写真を見ても、今の優待がある証拠にはなりません。買付前に会社の優待廃止案内を確認するだけで、こうした勘違いを防ぎやすくなります。
隠れ優待・株主通信の特典は毎年届くとは限らない
「隠れ優待」とは、公式の制度一覧に載っていなくても、株主向けの書類などに割引券や案内が同封される特典を指すことがあります。受取体験の情報は参考になりますが、実施が継続される保証はありません。
受取報告を見つけたら、何年の何月に届いたのか、保有株数は何株だったのか、案内の発送元はどこかを確認しましょう。そのうえで企業の公式資料に「1株以上」などの条件があるかを調べることが大切です。公式条件が確かめられない場合は、隠れ優待だけを目的に株を買う判断は慎重にした方がよいでしょう。
端株優待を受け取るには権利付最終日と申込方法を確認

優待の対象銘柄を選んでも、買う日が遅かったり、申し込みを忘れたりすると特典を受け取れません。1株投資では約定時刻にも制約があるため、基準日を含めたスケジュールの確認が欠かせません。
権利付最終日までに株の購入を成立させる
通常、優待を取得するには企業の基準日に株主である必要があります。国内株式は売買成立から受渡しまでに時間がかかるため、原則として基準日の2営業日前が「権利付最終日」です。基準日の1営業日前は権利落ち日となり、その日に買っても当該回の権利は取得できません。
例えば3月31日が火曜日で途中に休場日がなければ、3月27日金曜日が権利付最終日です。ただし祝日などがあれば日程は変わります。日本証券業協会系の金融経済教育推進機構(J-FLEC)の権利落ちの解説でも確認できます。1株取引は注文と約定に時間差が生じることがあるため、直前の注文は避けましょう。
基準日ごとの保有株数を企業の表で読む
企業の優待案内では、基準日と対象株数が表になっていることがあります。「全株主」は割引券だけで、「100株以上」は商品セットというように、特典ごとに条件が違うこともあります。複数の基準日がある場合、毎回同じ株数が必要かどうかも確認してください。
年1回と年2回では優待を利用できる機会が異なりますし、3月末だけではなく5月末や6月末に権利が確定する会社もあります。「3月の優待銘柄」という曖昧な情報より、会社の株主優待ページに記載された日付を優先しましょう。
自動発送か、申込が必要な特典かを調べる
優待の案内が届いたら、それで手続きが完了するとは限りません。商品の選択、カレンダーの申込、ポイント受取の条件確認などが必要になることがあります。申込期限を過ぎると、権利のある株主でも特典を受け取れない可能性があります。
また、優待品の発送は権利確定日から数か月後になることも珍しくありません。株主名簿に登録される住所を最新にし、案内の発送予定時期を確認しておきましょう。封筒を開封せずに処分しないことも大切です。
長期保有条件は1株を持つだけでは満たせない場合がある
長期保有を条件とする優待では、基準日ごとに同じ株主番号で記録されていることに加え、その都度100株以上などの必要株数を求める会社があります。1株を数年間持っていても、企業が定めた株数を満たさなければ長期保有特典の対象外となる可能性があります。
途中で全株を売却した場合や、証券会社の変更、貸株サービスの利用などによって株主番号や名簿上の扱いが変わる可能性にも注意が必要です。長期保有を狙っているなら、会社の継続保有の定義を確認し、判断が難しければ企業や証券会社に問い合わせましょう。
端株を1株から買える証券会社の使い方と費用

端株優待を始めるには、単元未満株の取引に対応した証券口座を利用します。株を購入できるかどうかに加えて、注文の成立時刻や手数料、優待に関する企業側の口座指定も確認してください。
SBI証券のS株はインターネット取引が無料
SBI証券の「S株」では対象となる日本株を1株単位で購入できます。公式案内では、インターネットでの単元未満株取引手数料は無料とされています。配当金も保有株数に応じて受け取れますが、優待は各発行会社の規定によります。
通常の100株単位の売買とは異なり、成行注文や約定タイミングに制約があります。注文を入力した時刻と買付が成立する時刻が一致するわけではないため、権利付最終日に間に合うかを確認する必要があります。取扱銘柄や注文方法はSBI証券の公式Q&Aをご覧ください。
楽天証券のかぶミニはスプレッドに注意
楽天証券の「かぶミニ」も対象銘柄を1株から売買できます。売買手数料は無料と案内されていますが、リアルタイム取引には0.22%のスプレッドがかかります。スプレッドは基準価格から売買価格に加減される差額のことで、注文内容によって実際の購入価格に影響します。
寄付取引にはスプレッドがないものの、注文受付や約定方法などはリアルタイム取引と異なります。例えば、1株の価格が安くても約定価格が想定と違う場合があるので、注文画面の条件を確認しましょう。費用の詳細は楽天証券の公式手数料案内に掲載されています。
マネックスグループの優待を狙うなら預け先にも条件がある
証券会社の取引サービスと、優待を受けるための企業側の条件は別です。先に紹介したマネックスグループのポイント優待は、マネックス証券口座に自社株式を預けていることが条件になっています。他社で1株を購入しただけでは、その条件を満たしません。
反対に、株主名簿の保有を条件とする優待は、特定の取引サービス名ではなく企業が指定した名簿上の保有状況が重要です。手数料だけで証券会社を選ばず、目的の優待が対象口座を指定しているかまで確認すると、購入後の行き違いを減らせます。
NISAで1株を買っても優待条件が緩くなるわけではない
証券会社がNISAの成長投資枠で単元未満株を扱っている場合は、NISA口座でも1株から投資できます。NISAには制度上の条件を満たす売却益や配当金への税制優遇がありますが、株主優待の対象株数まで変わるわけではありません。
また、NISAで国内株の配当金を非課税で受け取るには、株式数比例配分方式などの受取設定が必要です。値下がりのリスクも通常の株式と同じようにあるため、優待だけを目的にむやみに購入額を増やすことは避けましょう。
端株優待がお得になる人・ならない人の違い

1株なら少額で始めやすい一方、優待の価値は生活スタイルによって大きく変わります。優待の割引率や見かけの金額だけで判断せず、使う機会と株価のリスクを合わせて考えることが大切です。
割引優待は実際の節約額で評価する
例えば、もともと予定していた飲食代5,000円に30%割引券を使えば、条件を満たす場合の節約額は1,500円です。しかし、その券を使うために遠方へ出かけて交通費が増えたなら、家計全体では得にならない可能性があります。
商品セールでも、普段買わないものを「株主限定だから」と購入すれば支出は増えます。自分が普段利用する店や欲しい商品が対象になっているかが判断基準です。端株で得られる割引券は、額面の大きさより現実に使えるかどうかを重視すると失敗を減らせます。
優待の価値より株価の下落額が大きいこともある
仮に株価2,000円で1株買い、100円相当の特典を受け取った後に株価が1,700円になったとします。含み損は300円なので、優待の価値だけでは相殺できません。実際に売却すれば売買時の費用や価格差も影響します。
端株は投入資金を小さくできるメリットがありますが、株価下落、減配、優待の縮小・廃止、上場廃止といったリスクはなくなりません。優待目当てでも企業の事業や業績を確認し、生活に必要な資金を使わないことが基本です。
長く保有できる銘柄かどうかも考える
少額であっても、値下がりするたびに気になって売買を繰り返すと、優待目的の投資が負担になることがあります。普段から利用している企業であるか、事業内容を理解できるか、優待がなくなっても保有する理由が残るかを考えてみましょう。
一方、複数の1株優待を集めれば必ず得するわけではありません。特典ごとの申込期限や利用条件を管理する手間もかかります。初心者なら、まず一つの銘柄で公式情報の確認と権利取得の流れを経験し、使い勝手を確かめる方が無理なく始められるでしょう。
端株優待に関するよくある質問

最後に、保有方法や受け取り時期で迷いやすい点を整理します。細かな条件は企業ごとに異なるため、例外があることを前提に確認してください。
同じ株を証券会社2社で持てば優待は2つもらえますか?
同じ株主名義で同じ企業の株を複数の証券会社に保有しても、原則として一人の株主として扱われます。証券口座を二つに分けたからといって、優待が二人分になるわけではありません。企業によっては同一名義の保有株数が合算されます。
ただし、マネックスグループのように特定の証券口座内の保有株数を優待の判定に使用する場合もあります。一般的な株主名簿の保有と、口座指定型の制度を混同しないようにしましょう。
家族がそれぞれ1株買えば全員もらえますか?
家族それぞれが本人名義の口座で株主になり、各人が優待の条件を満たしていれば、それぞれ対象になる場合があります。しかし、同じ住所への送付や利用人数に関する制限があるかは優待ごとに異なります。
特に施設割引では株主本人が利用することを前提とした特典があり、単純に家族人数分の割引券を集める方が有利とは限りません。未成年者が株主となる場合は証券会社の口座条件も合わせて確かめてください。
権利付最終日の後に売っても優待は届きますか?
通常の基準日だけを判定する優待では、権利付最終日までに購入が成立していれば、権利落ち日以降に売却してもその回の権利は得られます。ただし、継続保有が条件の制度では、保有を続けていないと対象外になる場合があります。
また、権利落ち後の株価は配当や優待の権利がなくなる影響などで下がることがあります。優待のために短期間だけ買う方法は、値下がりの損失が特典を上回る可能性を考えておきましょう。
端株を買ったのに優待が届かないときは?
まず確認したいのは、株数が対象条件を満たしていたか、注文が権利付最終日までに成立したか、優待の発送予定日が過ぎているかの3点です。そのうえで、申込が必要な特典ではないか、証券口座や登録住所に指定がないかを確かめます。
基準日から数か月後に発送される優待もあります。条件を満たしているのに予定期間を過ぎても届かない場合は、企業のIR窓口や株主名簿管理人に問い合わせてみましょう。保有株数と基準日、登録住所が分かる状態にしておくと確認が進めやすくなります。
まとめ|優待を端株で狙うなら1株対象の条件を公式情報で確認
端株の1株保有でも、企業が1株以上や全株主を対象とする特典を設けていれば株主優待を受けられる場合があります。2026年にはマネックスグループのポイント、SBIホールディングスの割引購入、パソナグループの施設割引、日本ケミファの優待セール、クラレのカレンダーなどの例が確認できます。
ただし、1株で受けられる特典と100株以上の特典は別で、制度の廃止や条件変更も起こります。購入前に「対象株数」「基準日と権利付最終日」「申込方法」「実際に使える価値」の4点を確かめ、株価変動のリスクを理解したうえで判断しましょう。


